1型でいこう!

My life with type 1 diabetes.

今年を振り返る【ポンプ/SAPまとめ】

発症2年目の今年は転機の年でした。

2年1ヶ月前の11月28日に突然の入院、気がついたら1型糖尿病になっていました。そして、退院後の1年間(昨年)は、分からないことだらけ、五里霧中で、手探りの1年間でした。

その後の1年(今年)は、試行錯誤しながら、自分なりに、「こうすれば良いのかな」を会得できた年だったと感じています。

そこで、この1年を振り返りたいと思います。

 

1.年初の願い

今年の最初のブログは「今年は気持ちにゆとりを持って生活したい」でした、この実現度を自己採点すると、60点です。ある程度、気持ちにゆとりは出来ましたが、血糖値を気にすることから解放されていないことも事実です。ちょっと辛めの点数です。

 

2.記録的な高血糖を経験

1月、565mg/dLの、とんでもない高血糖になりました。原因はポンプのカニューレの不具合です。その時は、原因がよく分かりませんでした。この時のことは、「突然、565mg/dLの高血糖!」に書きました。

 

3.ポンプの故障

1月の下旬にポンプ本体のトラブルを経験しました。ポンプは機械なので壊れることがある、と頭で理解はしていましたが、使用開始から僅か4ヶ月ほどで、これを経験するとは思ってもいませんでした。私にとって、良い経験でした。これがきっかけで、トラブルが起きても慌てない、ポンプが故障した場合に備える、が身についたように思います。この時の経験は、「ポンプ/SAPが故障した」と「ポンプ/SAPを交換した」にまとめています。そして、ポンプの故障に備え、注射器を常に持ち歩き、いざというときはポンプのリザーバのインスリンを吸い出して注射できるようにしています(「注射器で非常時に備える」)。

6月に、不具合でトランスミッタも交換しました。

 

4.基礎の調整

ポンプのメリットの一つは、体内のホルモンなどの影響で変動する血糖値(食事と無関係に変動する血糖値)に合わせてインスリンの注入量を設定できることです。2月に、この基礎レートの調整を初めて行いました。この内容は、「起床後の血糖値上昇を改善したい」「基礎の調整を行う」「絶食テストで基礎の調整を確認する」「基礎の調整が完了した」にまとめています。基礎レートが合わなくなるので、時々、見直しをしています。

 

5.カニューレをシルエットに変更

300mg/dLを超える高血糖になる原因がカニューレにある(「カニューレ・トラブルの原因」)ことが分かり、クイックセットからシルエットに変更しました。今は、クイックセットを使うことがなく、シルエットのみを使っています。この変更後、血糖値が300mg/dLを超えることはほとんどありません。

クイックセットのシルエットについて、「カニューレ:クイックセットとシルエットを比較する」に書きました。

 

6.ポンプを640Gに変更

6月に待ち望んだ640Gに切り換えました。640G導入当初の印象は、「640Gを使い始めて感じたこと」、「640Gの低グルコース停止機能は?」、「640Gのスマートガード機能の調整」に書きましたが、現在は、時間帯と血糖値変動に合わせて、スマートガードのオン・オフを細かく行っています。

  • 早朝に血糖値が上がるので基礎の注入を止めないようにするため、午前3時から7時までは、無条件にオフにしている
  • 食前のボーラスにデュアル・ウエーブ・ボーラスを使うようにしてから、ボーラスする直前にスマートガードをオフにする
    (オフを忘れると、スクエア・ボーラス中にスマートガードが働きボーラスが停止することがある)
  • スマートガードが働き始めると血糖値変動を確認する。ポンプに表示されるグルコース値に応じてスマートガードを止める(血糖値変動が反転し、上昇に転じることがある。この時、スマートガードを続けると高血糖になる「640Gのスマートガードで高血糖になる」)

 

7.リザーバの気泡抜き、センサの較正などの手技やコツ

ポンプを使い始めて悩まれされたことは、リザーバの気泡抜きとセンサの較正です。

リザーバの気泡抜きは、コツをつかめば大きな問題では無くなりますが、それでも気泡を完全に無くすことが難しい。ある時、気泡がリザーバに残るのは構造に原因があるのではと考え、リザーバを分解しました。このことは、「リザーバの気泡をほぼ完璧に取り除く」に書きました。ただ、この方法でも完全に気泡を取り除くことができません。プランジャ(ピストン)のゴムに空気が残るためのようです。今は、まとめてバイアルのインスリンをリザーバ5本に充填し、戸棚に入れて保管していますが、充填から2日ほど経って、これを取り出して、リザーバを叩き上部に気泡が集まるようにし、リザーバを垂直(チューブ接続部を上にする)にして保管しています。こうすることで、チューブを接続して使用開始前に気泡を抜き易くできると感じています。

センサの較正方法は、「上手な較正で、ポンプ/SAPのグルコース値の精度を上げる」に書きました。この記事は複雑そうに見えますが、行っていることは簡単で、使用開始(再使用時の初期化を含む)から2日間は、血糖値が低い時、高い時に合わせてきちんと較正するようにしています(4~5回/日)。それ以降は、日に3~4回です。
較正のタイミングは、

  • 起床後に較正する
  • 血糖値が高い時(食事から1時間ほど経った時)に較正する
  • 就寝前1時間くらいに較正する(較正後、血糖値に応じて補食する)

が基本です。 

 

8.脂質に対応できるようになった

いろいろな失敗を重ねて、脂質に対応できるようになりました。基本的な考え方は、 脂質量10gに対して1単位をスクエアでボーラスすることです。食事前に炭水化物量に応じてデュアルでボーラスしているので、このボーラスが終わった後に、脂質分を追加でボーラスします。そのため、ボーラスし始めるのが食事から約1時間後で、スクエアの長さは1~2時間を指定しています。ただ、この方法では、脂質分をボーラスするのを忘れてしまうことがあります。詳しくは、「脂質による後上がりを無くすことにチャレンジ」に書きました。

 

9.血糖値を180mg/dL以下に抑えられるようになった

11月下旬からデュアル・ウエーブ・ボーラスを本格的に使い始めました。それ以前も使ったことがありましたが、いい加減な使い方だったので、使い熟せるまでにはなりませんでした。

今回は、きちんとデータを取りながら、どんな組み合わせが良いかを考えました(「血糖値180mg/dL以下を目指した結果」)。この結果、デュアルは、食事の10~15分前にノーマル70%、スクエア30%で45分のボーラスすると効果が大きいことが分かりました。これに加え、食事のスタイルを時間をかけるて食べるようにしました(「血糖値を下げる、もう一つの実験」)。

この2つの効果により、12月の31日間の食事(87回)の57%(50回)は、食後の血糖値が180 mg/dL以下に抑えられました(1日の血糖値変動が概ね70~180mg/dLの範囲内)。200mg/dL以下の割合は71%(62回)という好成績でした。

これは、今年の大きな成果です。もちろん、この2つのみでこれが実現した訳ではなく、カニューレをシルエットに変更したこと、脂質による後上がりを防ぐなどの工夫を積み重ねたことも役だっているはずです。

 

10.横浜VOXへの参加

1月に初めて横浜VOXに参加しました。講演とグループディスカッションだけに参加するつもりでしたが、会場に着いてから気が変わり、懇親会の参加も決め、フルに参加しました。この時の経験から、このイベントに少しでも役立ちたいとの思いで、7月と11月は、スタッフとして参加しました。

ここで知り合えた1型の仲間、教えてもらったこと、目から鱗に感じたことなど、貴重な財産・知識です。

 

来年

1型糖尿病は終わりのない航海だと思います。安全な航海をするためには、天候などの情報をタイムリーに入手すること、時々、寄港して、補給・休養することが必要でしょう。

焦らず、自分のペースで1型と生活することを目標に、明日から、新しい1年をスタートしたいと思います。