11/4/2021 「リザーバの気泡を抜く」にまとめ直したので、そちらを参照ください。
「リザーバの構造を知って、気泡を取り除く」の記事で行えば、原理的には気泡を取り除けるはずですが、気泡が残る場合がありました。手順の見直しを行った結果、きちんと気泡を取り除けることが分かりました。改善した方法で行ったところ、5回中、4回は気泡が発生することなく3日間使え、1回は小さな気泡が2個発生という、とても良い結果でした。
以下のとおり、「リザーバの構造を知って、気泡を取り除く」の記事の全文を修正します。
Ⅰ リザーバの構造
インスリンポンプのリザーバから気泡を取り除く方法について、「リザーバの気泡を取り除く」で書きましたが、この手順で気泡を取り除いても、大きな気泡がチューブに現れたことがありました。リザーバの構造に原因があって、気泡を取り除けないと考え、リザーバを分解しました。リザーバ内に空気が残ってしまうような構造であることが分かりました。
バイアルにリザーバを取り付けるための青い半透明のトランスファガードをリザーバから取り外しました(下図)。この写真はリザーバに接続されている側で、リザーバに突き刺さっている針が見えます。この針の長さは5.5ミリです。
リザーバ本体は3つのパーツ(下図のA、B、C)に分解できます。
- C:リザーバの本体
- B:針(トランスファガード、あるいはチューブコネクタの針)が刺さる部分。ゴムのように弾力があり、リザーバ本体(C)の突起部に挿入されている。厚みは約3ミリ(2本の指で挟んで押すと潰れ厚みが変化する)
- A:Bを固定するためのキャップ。厚みは0.5ミリ。
これらのパーツで構成されているリザーバに、トランスファガードをバイアルに取り付けてインスリンを移す、あるいはチューブコネクタを接続する時、気泡が下図のようにリザーバの上部に溜まります(下図のオレンジの部分が、青い半透明のトランスファガード、あるいは、チューブコネクタに相当)。
青い半透明のトランスファガードの針(あるいは、チューブコネクタの針)がリザーバ内壁の最上面から約2ミリ突き出ているため、気泡抜きをしても小さな空気の粒がリザーバ内に残ります。
これを回避し、小さな空気の粒をリザーバ内から追い出すためには、リザーバに刺している針の先端を下図の位置まで移動させてから、気泡抜きを行います。
この構造を理解して、次の2段階で気泡を抜きます。
特に、Ⅲの段階で、きちんと気泡を取り除くことが重要です。
Ⅱ リザーバにインスリンを移す
バイアルからリザーバにインスリンを充填する時の気泡対策
バイアルからインスリンをリザーバに移した後、リザーバを叩き、空気を上に集めます(「リザーバの気泡を取り除く」の1~5)。
青い半透明のトランスファガードを反時計回りに回してロックを解除する。
①~④を4~5回繰り返すことで、気泡が無くなります。
① リザーバの周囲を満遍なく叩いて、空気を上部に集める(ハサミを逆さに持って叩いている)。
② トランスファガードを2ミリほど上に移動させる(下図の状態にする)
リザーバから気泡を押し出す作業を行う前に、トランスファガードの針がリザーバ内壁の最上面まで引き抜きます。
注:トランスファガードを抜き過ぎて、リザーバから外さないように気をつける(620Gシステムユーザガイドの96頁、640G システムユーザガイドの96頁に下記の注意書きがあります)
リザーバの先端あるいはチューブコネクタ内部に液体の付着が認められる場合は、リザーバおよび注入セットを使用しないでください。液体により通気孔が塞がれる可能性があります。通気孔が塞がることにより、過量あるいは過小のインスリン注入が引き起こされる可能性を否定できないことがわかりました。万一リザーバの先端、またはチューブコネクタ内部に液体が付着していることが確認されたら、新しい製品に交換してください。
③ リザーバのプランジャ(ピストン)をゆっくり押して、気泡を抜きます。この時、プランジャを押しても動かない場合は、トランスファガードの針を移動させ過ぎ(針の抜き過ぎ)で、針が弾力性のあるBに埋もれていることが原因です。その場合、トランスファガードをリザーバ側に少し押し下げます(元の方向へ戻す)。
④ トランスファガードを下図の状態に戻します(これを行わずに、トランスファガードを緩めた状態(上図の状態)でリザーバを叩くと、バイアルの重さでふらつき、不安定になる)。
最終的な気泡抜きは、Ⅲで行うので、この段階では、まだ気泡が少し残っていることもありますが、問題ありません。
私は、バイアル1瓶の全量をまとめてリザーバ(180単位/リザーバで5本)に移しています。インスリンを移したリザーバは、日の光が届かない場所に保管しています(冷蔵庫に入れない)。このように、まとめてインスリン入りのリザーバを作っておくことで、ポンプ内のインスリンを使い切ってしまった場合に、慌てずに、リザーバの交換ができます。
また、かなりの日数、静かにリザーバを置いておくことで、内部に残った空気が、上部に集まる副次的な効果もあると思います。
Ⅲ カニューレのチューブをリザーバにつなぐ
カニューレのチューブを接続する時の気泡対策
ポンプのリザーバを交換する時、再び、気泡を取り除きます。ポンプ使用中にチューブに気泡を発生させないために、この段階で、きちんと気泡を抜くことが重要です。
チューブコネクタも針の長さが5.5ミリあります。リザーバにインスリンを移した時と同じ方法で気泡抜きを行います。
リザーバにチューブコネクタを接続します(この時、コネクタを時計回りに回さないで、ロックしない状態のままにする)。
下記の①~④を6回ほど繰り返します。
① リザーバの周囲を満遍なく叩く。特に、プランジャのゴム周辺は念入りに叩く(ハサミを逆さに持って叩いている)
② 下図のように、チューブコネクタを約2ミリ上に移動させる
注:チューブコネクタを抜き過ぎて、リザーバから外さないように気をつける(リザーバからチューブが外れると、針先に空気が入り、再び、リザーバ内に空気が入ることになる)
③ リザーバのプランジャをゆっくり押して、気泡を抜きます。この時、プランジャを押しても動かない場合は、チューブコネクタの針の移動させ過ぎ(針の抜き過ぎ)で、針が弾力性のあるBに埋もれていることが原因です。その場合、チューブコネクタをリザーバ側に少し押し下げます(元の方向へ戻す)。
④ チューブコネクタを元に戻す
チューブ内に押し出したインスリンに気泡が混じっていない状態になれば、気泡抜きが完了です。
気泡抜きが完了したら、チューブコネクタを押し下げ、時計回りに回し、カチッと固定させることを忘れずに行います。これを忘れた状態でポンプにリザーバを取り付けると、チューブが外れる事故になるので、要注意です。
6/24/'18 加筆・修正しました。
4/17/'19、4/18/'19 修正しました。