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780Gで高脂質・高タンパク質の食事への対応方法をいろいろ試し、自分としてのやり方がほぼ固まった。
770Gのときは、食後にマニュアルモードに切り替えて1~3単位を45分くらいのスクエアでボーラスしていた。780Gでこの方法は良くない、理由は、スマートガードの継続が望ましく、マニュアルモードに切り替えるとスマートガードに戻るときに必ず較正が行われるので、マニュアルモードの使用を避けたい。そのため、どうするかを模索した。
参考にした資料
FacebookのPrivate Group "Medtronic 670G, 770G, 780G Support Group"で、メドトロニック ・オーストラレーシア作成の資料「MINIMED 670G MANAGING FOOD」)を知った。
オーストラレーシアは、オーストラリア・ニュージーランド・ニューギニアおよび南太平洋の島々の総称
この資料は、ミニメド670G(770Gと同等)のユーザ向けで、高糖質・高脂質・高タンパク質の食事を摂るときのガイドライン。
この資料について、Kathy Leppert氏は次のコメントをしている。
There's a really excellent information sheet at the link that can help you with "challenging" meals such as high protein, high fat, and large amounts of carbs, all of which will slow your digestion and create delayed, stubborn, and sustained highs for hours after you eat.
この資料は、高タンパク、高脂肪、高糖質がある「チャレンジングな」食事(消化を遅らせたり、食後に血糖値の後上がりを起こしたり、厳しい高血糖が続く食事)を摂るとき役立つ非常に優れた情報が記載されている。
資料から一部を引用:
MEAL TYPE表の日本語訳:
食事タイプ | マニュアルモード | オートモード |
---|---|---|
高糖質 | 食前15分にボーラス | 食前に80%をボーラスし、食後1時間に20%をボーラス |
高タンパク質(糖質なし) | 食前に糖質15g相当をボーラス、各自の結果に応じて増量(調整)する | |
高タンパク質(糖質あり) |
糖質量で決まるインスリン量を20~30%増量 デユアルボーラスを70:30の比率で3時間以上で設定 |
糖質量で決まるインスリン量を20%増量 食前に70%をボーラスし、食後1時間に30%をボーラス |
高脂質、高タンパク質(糖質あり) |
糖質量で決まるインスリン量を20~40%増量 デユアルボーラスを60:40の比率で3時間以上で設定 |
糖質量で決まるインスリン量を20 ~30%増量 食前に60%をボーラスし、食後1時間に40%をボーラス |
私の理解と対応
前掲の資料は
- 高糖質、高脂質、高タンパク質の食事を摂ったときに不足するインスリンを、カウントした糖質に上乗せする形で簡易的にカバーする
- 事前(食後1時間)にボーラスして高血糖を起こさないようにする
- 増量や分割の割合は目安であり、状況に応じて修正する
がポイント。
私が770Gで行ったやり方と考え方は同じで、異なる点はマニュアルモードでスクエアを使っていた部分を糖質の増量で対応していることと、オートモードによる注入分を考慮していること。
なお、マニュアルモードの内容はペンユーザの参考にもなると思う。
これらを踏まえ、私は780Gで、次のように行っている。
- 増量は、糖質に対する割合ではなく、食事の内容で決める(経験値に基づき増加するインスリン量を決める)。例えば、カレーのときは3~3.5単位を増量、とんかつは3単位、等
- スマートガードでカバーされる注入量は予測不可能できないので、考慮しない(ボーラスし過ぎであればオート基礎で調整されることも想定)
- ボーラスを簡単にするために、食前にカウントした糖質に対応するインスリン全量をボーラスし、30~60分後に増量分を糖質量に換算してボーラスする
以下に実例を紹介。
実例1:コロッケバーガー
コロッケを挟んだバーガーを食べたときに、2つの方法を試した。
① 食前にカウントした糖質に対応したインスリンをボーラスしただけで、ポンプに依存した場合(4/01)
ピークの血糖値は250mg/dLを超えたが、ピークに達する前にスマートガードの自動補正ボーラスが働いた。
- 12:44 5.55単位を食前ボーラス
- 13:00 食事(コロッケバーガーと牛乳200ml)
- 自動補正ボーラス(合計 3.00u)
- 14:14 0.30u
- 14:24 0.60u
- 14:54 0.40u
- 14:59 1.50u
- 15:04 0.20u
- 14:32 血糖値測定 200mg/dL (グルコース値 186mg/dL) → 較正
(センサ使用初日だったので較正した) - 14:30~16:00 オート基礎(約1.60u)
② ほぼ同じ内容の食事を食べ、30分後に追加ボーラスをした場合(4/08)
昼前に血糖値が低かった(83mg/dL)ので補食した。この影響で、グルコース値が156mg/dLに上昇。
食後のピークは200mg/dLで、その後下がり、100mg/dLに着地。
- 13:04 7.45単位を食前ボーラス
- 13:15 食事(コロッケバーガー、牛乳200ml、ヨーグルト)
- 13:17 2.10単位をボーラス
- 15:07 血糖値測定 190mg/dL (グルコース値 182mg/dL、較正なし)
実例2:ロースカツ
脂身のある厚いロースカツを食べた場合(4/5)
昼食と夕食を兼ねた食事として、外食でロースカツ定食を食べた。外食ではいつもご飯を○○gとお願いして計ってもらうようにしている。かなり肉厚で脂肪もついているロースカツだったが、血糖値の推移に大きな問題はなかった。
使用したインスリンがルムジェブ(一時的に使用、通常はリスプロBSを使用)だったので、切れが早く、19:30ころに120mg/dLまで下がった後、上昇に転じたが、スマートガードの自動補正ボーラスが働き、22:30ころにピーク210mg/dLから下がり始めた。
- 15:00 グルコース値95mg/dLで糖質20gを補食 → 血糖値が急激に上昇
- 15:53 6.30単位を食前ボーラス(外食時は分割ボーラスで対応)
- 16:00 3.65単位をボーラス(食事の一部が配膳されたので追加)
- 16:15 0.70単位をボーラス(全ての食事が配膳され、不足分を追加)
- 16:28 2.80単位をボーラス(脂質、タンパク質 ← 射ち忘れを防ぐために店を出る前にボーラス)
- 20:04~21:34 自動補正ボーラス12回(0.15u~0.40u:計 2.40u)
- 22:04~22:29 自動補正ボーラス5回(0.15u~0.35u:計 1.15u)
- 0:09~1:34 就寝中 自動補正ボーラス4回(0.10u~0.40u:計 0.85u)
- 7:38 起床後 実測 90mg/dL (グルコース値 88mg/dL、較正なし)
実例3:カレーと焼売
夕食(3/29)でカレーを食べ、翌日の朝食(3/30)で焼売を食べた場合
夕食前に低血糖で糖質5gを2回(17:58 81mg/dL、18:28 88mg/dL)補食した。低血糖のときはセーフ・ボーラスが働き、必要なインスリンをボーラスできない。これを防ぐために補食。
- 18:49 10.40単位を食前ボーラス(3分割)
- 19:05 食事(カレーライス、サラダ、ビール等)
- 19:46 2.25単位をボーラス
就寝前(23:50)のグルコース値が低い(80mg/dL)ので、糖質10gを補食。眠前の実測値128mg/dL。
就寝中の低血糖(70mg/dL)のアラームで目が覚め(3:20)、糖質10gを補食して、寝直す。この補食で血糖値が上がり、自動補正ボーラス0.35uが行われた(3:45)。
起床後:
- 7:41 実測 104mg/dL
- 7:56 10.35単位を食前ボーラス
- 8:20 食事(ご飯、納豆、焼売、味噌汁等)
焼売の脂質が高く、いつもは食後に追加ボーラスするが、食後のグルコース値の上昇が緩やかだったので追加をスキップした。
グルコース値の動向を確認してから、追加ボーラスをするかどうかと判断できることもメリット。
実例4:鶏の唐揚げ
夕食で鶏の唐揚げと南瓜の煮物を食べた場合(4/08)
唐揚げは好きな料理の一つ。必ず後上がりがあるので、常に追加ボーラスするようにしている。
- 18:50 8.70単位を食前ボーラス
- 19:00 食事(鶏の唐揚げ、南瓜の煮物、ポテトのバター炒め、マカロニサラダ等)
- 19:30 2.40単位をボーラス
食後のピークが170mg/dLで、きれいな曲線を描いた。就寝前の実測132mg/dL。
実例5:帆立フライ・海老フライ・蟹クリームコロッケ
外食で、少し遅めの昼食として、帆立フライ・海老フライ・蟹クリームコロッケのセットメニューを食べた場合(3/13)
ランチのセットメニューを食べたので、スープ、サラダ、メイン、デザートと順番に出てくる。食事を見てから3回に分けてボーラスした。ライスを選択して170gで計量をリクエスト。
- 13:25 8.90単位を食前ボーラス(メニューを見て、注文直後にボーラス)
- 13:40 メインディッシュを食べる
- 13:40 1.55単位をボーラス(不足分を追加)
- 13:55 4.20単位をボーラス(デザートにプリン・ア・ラ・モード、かなり高糖質)
なだらかな変動で推移。食事に時間がかかるときは、そのスピードに合わせて、分けてボーラスしている。以前は、コース料理のとき、お皿ごとにカウントしたこともあったが、今は、ある程度まとめてボーラスするようにしている。
まとめ
脂質やタンパク質がそれほど高くなければ、スマートガードに任せれば自動補正ボーラスでカバーできる。私は、高血糖を避けたいと考えているので、食事に応じて食後の追加ボーラスを行うようにしている。
ただ、それが外れて、低血糖になることもある。その場合は、補食で対応すると割り切っている。