1型でいこう!

My life with type 1 diabetes.

770Gオートモード中に補正ボーラスする方法

以前の記事(「770Gオートモードのコツとクセを理解する」)で、補正(追加)ボーラスをファントムカーボで行っていると書いたが、先週金曜から止めている。

先週の金曜日(7/15)から、オートモードの解除 ⇒ ノーマルボーラス ⇒ オートモード再開、で補正ボーラスするように変更した。

理由は、糖質を摂っていないのにカーボとしてボーラスすることがオートモードのアルゴリズムに反すると考えたからです。

 

ファントムカーボによるボーラス vs. ノーマルボーラス

オートモードは、5分ごとにグルコース値を基に、残存インスリンインスリン効果値を反映してオート基礎注入を行われるとされている。そのため、オートモードのアルゴリズム上、ファントムカーボで補正ボーラスした場合のインスリンはインプットされた糖質を処理するためものと扱われる(計算される)はずで、血糖値を下げるためのインスリンとはならないはず。

2つのケースを比べるとアルゴリズム上の違いが分かる。

 

① ファントムカーボでボーラスした場合(7月2日朝食)

2回のファントムカーボでボーラス後、10時半ころからグルコース値が下がっているが、オート基礎注入()が継続。

   

  • 7:52 朝食前に12.65単位をボーラス
  • 9:12 実測236mg/dLだったので、 18gのファントムカーボとして2.5単位をボーラス
  • 10:07 11gのファントムカーボとして1.5単位をボーラス

 

② ノーマルボーラスした場合(7月18日朝食)

2回のノーマルボーラス後、10時半ころからグルコース値が下がり始め、10:46からオート基礎注入()が停止(この時点で233の高血糖)。

   

  • 8:37と8:54 朝食用のボーラス10.5単位
  • 9:42 オートモードを解除し、ノーマルで1.5単位をボーラス。直後にオートモードを再開
  • 10:19 実測245mg/dL だったので、 オートモードを解除し、ノーマルで1.5単位をボーラス後にオートモードを再開

 

ファントムカーボでボーラスするとオート基礎注入が継続されるため、インスリン過多で低血糖になるリスクがある。

オートモードを抜けてからノーマルでボーラスした場合、グルコース変動に応じてオート基礎注入が止まり、低血糖になるリスクが減る。

 

補正をノーマルボーラスで行うようにして感じたこと

私の場合、5分ごとのオート基礎で注入されるインスリンは、0.025、0.05、0.75、0.1単位の4パターンで、1時間連続してオート基礎注入が行われると、注入される総量は約0.8~1.0単位となる。そのため、200超の高血糖のとき、オートモードに任せても血糖値は下がらない。面倒でも、オートモードを解除して、ノーマルボーラスで補正するのが効果的と判断している。その上で、オートモードに基礎の注入を委ねることで、低血糖の防止になる。

 

高血糖になると簡単には下がらない。これは経験で学んだこと。なので、経験値・実績値で補正に必要なインスリン単位数を決めてボーラスするのが効果的。その上で、基礎のコントロールをオートモードに委ねるのが合理的であり、理にかなっていると思う。

 

低血糖の回避という観点で、770Gのオートモードは640Gのスマートガードによる基礎の停止よりも遙かに優れていると感じている。

 

高血糖になっている時に770Gのオートモードで長時間(例えば2時間)使い続けても血糖値が下がらない。その後、血糖値を下げるためにボーラスする際、それまでにオート基礎で何単位のインスリンが注入され、残存インスリンがどのくらいあるのかを悩むことになる。結局無駄な時間と労力を費やすことになる。それを避けるためにも、早めにノーマルボーラスして血糖値を下げる努力をする方が良い。

 

一時目標

私は「一時目標」を積極的に使っている。これを使うと、オート基礎注入を停止(または減少)できる。

夕方、ウォーキングするために、16:29に一時目標を1.5時間で設定した。

   

 

17:46でグルコース値94。

   

 

昼食から夕食前までのグルコース変動。この間、オートモードに委ねた結果で、良好なコントロールになった。

   

 

海外の資料「補正ボーラス」

私は、PROTOCOL FOR HYBRID CLOSED LOOP TECHNOLOGY」の内容を重視している。これについて、記事「770G HCLアルゴリズムとDMF Kobe」に書いた。

このP.10に記載されている一部を抜粋する。

 

Correction Boluses

In Auto Mode, correction boluses are calculated using the programmed AIT, a hard-set correction target of 8.3 mmol/L and an ISF calculated by the algorithm. The ISF is recalculated every 24 hours and is based on the median TDD.
Note: Manual Mode's programmed ISF is only used in Manual Mode.


Correction boluses, in Auto Mode, are only calculated if a BG > 8.3 mmol/L is entered AND there is not enough active insulin remaining from a previous bolus to lower glucose to 8.3 mmol/L (correction target). The goal of a correction bolus is to lower highs to 8.3 mmol/L and then allow Auto Basal to lower glucose to 6.7 mmol/L
(basal target). This helps mitigate lows that can occur from over-correcting highs. If a patient expresses concern that a 8.3 mmol/L target is too high, remind them that Auto Basal will continue to lower glucose.

Some patients try to lower glucose further and faster by entering carbs and bolusing for food they did not eat.
Entering phantom carbs may lower glucose faster; however, it often results in lows that have to be managed with unnecessary carbs / calories. To help manage these lows, encourage patients to allow Auto Basal to gradually return glucose to 6.7 mmol/L.

補正ボーラス

オートモードにおける補正ボーラスは、ポンプに設定された「残存インスリン時間(AIT)」、固定された目標値150mg/dL、ポンプのアルゴリズムによって計算されるインスリン効果値(ISF)の3つの要素により計算される。インスリン効果値(ISF)は、2~6日のTDD(一日の総インスリン量)の中間値を基に24時間ごとに再計算される。

オートモード中の補正ボーラスは、150mg/dL以上の実測値が入力され、かつ、残存インスリンだけでは血糖値を150に下げられない場合のみ計算される。この補正ボーラスの目標は血糖値を150に下げることであり、150に下がった後は、オート基礎注入が血糖値120を目標に動く。2つ機能が連携して動くことにより、高血糖からの補正し過ぎのリスクを減らすようになっている。

ポンプ使用者は、速やかに血糖値を下げるために、摂っていない糖質量を入力してオートモードボーラスを使おうとするかもしれない。

このPhantom carbs (幽霊糖質、ダミーの糖質)の入力は低血糖を招き、不必要な補食を行うことになるので、注意が必要。オート基礎注入は低血糖を防ぐために徐々に血糖値を120に近づける仕組みであることを使用者に理解させることが重要。

 

ポンプが推奨する補正ボーラス

770Gを使い始めてから2回、自動的にポンプ推奨の補正ボーラスが表示された。2回とも、血糖値をインプットした時に表示された。

例:実測値157mg/dLをインプットすると下図のようなメッセージが表示された。

   

   

ボーラスを選択するとボーラス画面が表示され、ボーラスした。

 

ポンプ内で計算されるインスリン効果値

推奨の補正ボーラスは、インプットした血糖値から150に下げるためのボーラスになる。

   

   

 

770Gオートモードで使用されるインスリン効果値は、TDD(一日の総インスリン量)から自動計算される。

推奨された補正ボーラスから、その値を推測できた。インプットした血糖値157を150に下げるためのボーラス量が0.1単位なので、

  (157-150)÷0.1=70

1単位で70mg/dL下がるとの前提でオート基礎注入が行われていることになる。