7/10 追記:ミールボーラスを分割したケース⑤を追加
7/12 追記:5ケースの日内グルコースグラフの追加、記述の修正・追加
770Gオートモードのコツを掴むために、幾つかのパターンに分けてポンプの動きと血糖値変動をチェックした。この内容を備忘録としてまとめる。
注:私の自己責任で行ったものであり、食事やインスリン反応などの条件が異なるため、この内容がそのまま他の人に適用できるものではない。
オートモードに影響する設定項目
770Gオートモードに影響する設定項目は
- 糖質比
- 残存インスリン時間(AIT Active Insulin Time)
の2つ。基礎レートなどの設定項目は、オートモードで使用されないが、マニュアルモードになる時間帯を避けられないため、他の項目についてもきちんと設定している。
糖質比は、640G使用時に決めた数値を引き継いで使用し、変更していない。
残存インスリン時間(AIT)は、640Gでは3時間30分に設定していたが、770Gでは2時間30分に変更(短縮)した。
変更は、770Gオートモードの仕組み(AITを短くするとオート基礎注入がスタートするタイミングが早まる)を理解し、海外のFacebookの情報を参考に決めた。
なお、この変更でポンプに表示される『残存インスリン』が実態を示さない(実際よりも少ない単位数になる)が、インスリン注入をポンプに任せるのだから、これは大した問題ではないと考えている(オート基礎注入されるインスリンも残存インスリンに含まれない)。
Facebookの情報
Medtronic 670G, 770G, 780G Support Groupを"AIT"で検索して表示される投稿の中から、次の2つを参考にした。
AIT設定値のアンケート調査
AITの設定値(最短2時間)の調査結果(回答数59)
2時間 33人(56%)
2時間15分 1人(2%)
2時間30分 9人(15%)
2時間45分 1人(2%)
3時間 9人(15%)
3時間30分 6人(10%)
オートモードを使い始めた時に直面する課題(食後の血糖値上昇)への対応方法
Kathy Keppertの投稿は、オートモードを効果的に使うためのヒント集であり、とても参考になる。
① 食事から1時間後に高血糖(7月2日朝食)
朝食から1時間後に236mg/dLの高血糖になった。
高血糖を下げるために、オートモード中にファントムカーボで2.5単位をボーラスした。
ファントムカーボ(Phantom carbs)は、”炭水化物摂取”を仮装してボーラスする方法で、ファントムPhantomは幻影との意味。これをフェイクカーボ(Fake 、嘘)と呼ぶ人もいるが、Fakeの響きが好きではない。海外でもファントムカーボと呼ぶ人が多い。
約1時間後の10時すぎ、まだ血糖値が下がらず高い状態が続くので、再びファントムカーボで1.5単位をボーラスした。
この結果、昼前に下がった。
カウントしたカーボ数は正しかったと思うが、高血糖になった原因は不明。
② 脂質による後上がり対応で追加ボーラス(7月5日昼食)
午後1時半ころ、カニクリームコロッケを食べた。1時間後に最小注入レートで2.5時間継続したとのアラームが表示されたので、ポンプのグルコース値105を入力してオートモードを継続。
オート基礎注入で、約1時間のグルコース値上昇の継続後に下げに転じた。15:36に実測143で較正。16:48に高グルコース予測アラートが出たので、インスリンが足りないと判断し、ファントムカーボで1.4単位をボーラス。
追加ボーラスした1.4単位が、オート基礎で注入されたインスリンと重複したようで、18時前から急速に下降して低血糖になり、コントロール失敗。
③ オートモードに全てを任せる(7月6日昼食)
前日の失敗に学び、血糖値が高くても追加ボーラスせずにオート基礎注入に任せた。
ピーク時のグルコース値216。
オート注入により自然に下がった。少し下がり過ぎたため補食。
結果は、まあまあ、という感じ。
④ 脂質分の追加ボーラスと一時目標による注入抑制(7月9日朝食)
8時半に朝食、チキンナゲット(脂質12g)を食べた。1時間後の9:30に脂質分のインスリンとして1.8単位をボーラス(過去実績値を基に脂質を炭水化物に換算して単位数を決めている)。
10:15~10:55と11:17~12:17の約1.5時間、『一時目標(オートモード目標150mg/dL)』をONにして、オート基礎注入を抑えた。これは②の失敗から学んだことの反映。
この結果、血糖値は安定。
かなり良い結果と思う。コントロール成功。
⑤ 食事用のインスリンを2回に分けてボーラス(7月10日午前)
Kathy Leppertが"You may need to split your boluses. A lot of us simulate a dual wave bolus by bolusing for part of a high-fat or high-protein meal up front, and the rest of it an hour or two later."(ミールボーラスを分割することでデュアルウェーブ・ボーラスをシミュレートでき、高脂質や高蛋白質の食事に対して効果がある。分割は食前ボーラスと食事から1~2時間後に残りをボーラスする)と述べている。これを試してみた。
朝食の糖質82g(朝食の糖質比7.2⇒11.35単位)なので、75:25に分割した。
7:53に8.6単位(約75%)をボーラスし、20分後に食べ始めた。
食後の8:35に残りの2.75単位(約25%)をボーラス。
9時すぎにISIG値から血糖値が高いと推測し、実測。231mg/dLもの高血糖。
較正が不適切(新センサ使用開始後に初めての200超)で、センサグルコース値がズレていた。較正を行った。
231の高血糖であれば、今までは無条件に2単位の追加ボーラスしたが、気持ちを抑えてオートモードに任せた。これが良かったようで、昼には正常値に着地。
食事から4時間後に100ちかくまで下がり、糖質に見合うインスリンをボーラスできたことを確認。230台の高血糖になったのは、2回目のボーラスのインスリン作用発現が消化に対して間に合わなかったためと考えられる。
Kathyは”デュアルボーラスのシミュレーション”と呼んでいるが、実態はデュアルウェーブというよりも、インスリンの最大効果の山が2つできて、台形のような効果が持続されると感じている。
2回目のボーラスのタイミングを20分くらい早めれば、多分、ピーク血糖値が下がるはず。また、2回の間隔を短くすれば、残存インスリンの持続時間短縮になり、オート基礎注入の開始が早まる。これらの複合効果で血糖値の山を低くできると思う。
分割してボーラスするのは効果があるようなので、今後も使いたい。
まとめ
- 残存インスリン時間(AIT)2時間30分の設定は、オートモードによる血糖コントロールに効果がある。
- 血糖値が200くらいまではオートモードで下げることができる。ただし、下げるスピードが緩やかで時間がかかる。
- 200超の高血糖では補正ボーラスが必要となる。ボーラスするタイミングは要注意(オート注入が行われた時間からざっくりとインスリン量を把握し、インスリン過多を避ける)。
- オート注入が長時間行われている時に補正ボーラスすると低血糖になるリスクがある。
- 『一時目標』をONにするとオート基礎注入を抑制(停止)できる。
- 食事のインスリンを食前に6~7割をボーラスし、その20分後に残りをボーラスすると、血糖値の山を低くし追加ボーラスを減らせるように感じる。