今朝、起床後の実測が150mg/dLもあり、いつもなら100~130くらいなのでかなり高い。これはオートモードがうまく機能しなかった結果と思い、原因を考えた。
最大基礎注入レートが低い
就寝前の実測が118mg/dLで、一時目標を4時間に設定して寝た。これで、午前0:47~4:47まで、オート基礎による注入量が抑制されたが、同様の設定は頻繁に行っている。これが原因とは思えない。
オート基礎の個々の注入をチェックすると、一時目標終了後の基礎注入レートが最大で0.075単位だった。私の場合、最大値が0.1になるので、これが原因と推測。
この日(11/4)は一日中に渡り、最大値が0.075単位の状態で、0.1単位になることはなかった。
オートモードのパラメータが決まる要因
オートモードのパラメータ(最大基礎注入レート、最小基礎注入レートなど)は、直近6日間のTDD(一日の総インスリン量)の中央値で計算される(詳しくは、「 770G HCLアルゴリズムとDMF Kobe」を参照)。この情報は、「PROTOCOL FOR HYBRID CLOSED LOOP TECHNOLOGY」に記載されている。重要な点(赤字の部分)なので、以下に再掲。
(Page 9)
How Auto Basal is Determined
The 5 minute Auto Basal doses are determined using multiple factors including:
1) Current SG: The most recent SG reading
2) PID Algorithm:
a) Proportional: How far SG is away from the 6.7 mmol/L target
b) Integral: How long SG has been away from the 6.7 mmol/L target
c) Derivative: How rapidly SG has been changing
3) Insulin Feedback: Total amount of active insulin (basal and bolus) on board.
4) Auto Mode Max Delivery: The maximum amount of Auto Basal that can be delivered over a period of time. It is recalculated every 24 hrs using fasting values and the median TDD.
The median TDD is comprised of basal and bolus insulin delivered over the last 2-6 days. It is used to update Auto Mode parameters such as Safe Basal, ISF, and Max Delivery.
Note: The algorithm calculates Auto Basal using the above parameters; it does not learn an individual’s time of day patterns or diurnal variations (i.e., dawn phenomenon).
昨日までの6日間のTDDは
TDD | 基礎レート | ボーラス | |
10/29 | 30.050 | 5.750 | 24.300 |
10/30 | 32.350 | 8.000 | 24.350 |
10/31 | 27.500 | 6.300 | 21.200 |
11/1 | 33.975 | 4.925 | 29.050 |
11/2 | 25.275 | 4.325 | 20.950 |
11/3 | 22.425 | 5.675 | 16.700 |
中央値とは『データを小さい順に並べたデータのちょうど中央にあるデータのこと』(詳細は「4-1. 平均、中央値、最頻値を求めてみよう | 統計学の時間 | 統計WEB」を参照)。上記の数値を小さい順に並べ替えると
- 22.425 (11/3)
- 25.275 (11/2)
- 27.500 (10/31)
- 30.050 (10/29)
- 32.350 (10/30)
- 33.975 (11/1)
となるが、データが偶数個(4個、6個など)の場合はちょうど真ん中にくる値がない。偶数個の場合には、中央に最も近い2つの値の平均値が中央値になる。
(27.5+30.05)÷2=28.775
ExcelのMedian関数で簡単に中央値を計算できる。下図は、10/20~11/4までの各日の直近6日間のTDD中央値。
今日(11/4)のオートモードに使用されたTDD中央値28.775は他の日(30~34)に比べて極めて低い。恐らくこれが原因で最大基礎注入レートが0.075単位になったようだ(アルゴリズムはもっと複雑な構成になっているはずで、単純に決まるものではないと思う)。
まとめ
直近6日間のうち3日以上で摂取した糖質量が少ない場合、このような現象になることが分かった(3日未満なら中央値の計算から外れるのでオートモードへの影響は少ない)。
今回は、たまたま、10/31、11/2、11/3の3日で摂取した糖質量が少なかったが、普段は定常的に糖質を摂っているのでこのような状態にはならない。でも、インフルエンザに罹るなどでシックデイになれば食欲が落ち、TDDが大幅に減るだろう。そのような状況では、発熱で血糖値が上がり基礎を増やすことになるが、オートモードを使用していると基礎レートが下がり逆効果になるリスクがある。そのため、マニュアルモードに切り替える方が安心であり、確実にコントロールできる。今回は良い勉強になった。