1型でいこう!

My life with type 1 diabetes.

770G:残存インスリン時間(AIT)調整の影響と効果

770Gの使用開始時から残存インスリン時間(AIT:Active Insuline Time)を実態とは異なる時間を設定している。使用しているインスリン製剤の作用持続時間は3~5時間とされているが、640G使用時に実感した持続時間は3時間30~45分。そのため、本来は3時間30分となる。

でも、770Gのオートモードに影響する項目は

の2つ。これら2つは、とても重要な設定項目。特に、残存インスリン時間はオート基礎で注入されるインスリン量と密接に関係する(詳細は、記事「770Gオートモードのチューニング」を参照)。

 

AITを+15分変更した結果

残存インスリン時間:2時間30分の設定で約40日間使い続けたが、低血糖になる傾向が多かったので、8/4(木)深夜に2時間45分に変更した。

それでも、就寝中に60台の低血糖になることがあるので、それを解消しようと考え、10/22(土)から+15分した3時間に変えた。

 

下図がその結果。10/23、24、25の3日間で250mg/dL前後の高血糖になった。

 

高血糖になった多くの原因はAITの変更と推測できので、10/26(水)以降は2時間45分に戻した。

 

AITの設定変更の影響は?

今回の経験は、AIT変更がどのように影響するかを知る良い機会になった。変更前後のデータを分析してみた。

同じ血糖変動を比較する必要があるので、時間帯とグルコースの変動パターンが似ている次の2ケースを選んだ(厳密に言えば、食べたものが異なるので、完全に条件が同じではない)。

 

ケース1:朝食後に血糖値が上昇し高血糖になった場合

 A:AITが3時間

 B:AITが2時間45分

下図は、この2パターンでオート基礎注入がどのようになったかをまとめたもの(数値はケアリンク・パーソナルからCSVファイルをダウンロードしたデータから抜粋)。

   

AITを15分長くした場合、オート基礎で注入されるインスリン量が1.025単位から0.875単位に約15%減少した。

 

ケース2:夕食後に血糖値が上昇し高血糖になった場合

 A:AITが3時間

 B:AITが2時間45分

   

ケース1と同様に、AITを15分長くすると、オート基礎で注入されるインスリン量が0.975単位から0.875単位に約10%減少。

 

AITを調整することでオート基礎で注入されるインスリンを増減できる。

ここで注意すべきことがある。それは、オート基礎で注入されるインスリンの基準値(最大値、最小値)は、直近6日間のTDD(Total Daily Dose of insulin、1日の総インスリン量)から計算されるので、個人差があること。TDDが大きければ基準値が増え、小さければ少なくなる。私の場合、TDDが32~38単位くらいなので、最大オート基礎注入は0.1単位になる。

 

AITの変更が反映されるタイミング

糖質比はポンプの設定を変更すれば即座に反映するが、AITは異なるはず。そう思って、実験してみた。

10/25(火)22:49ころにAITを3時間から2時間45分に変更した。

この結果が下図。

   

日付が変わるタイミングでAITの変更が反映している。

これは、考えてみれば当然なんですね。というのは、オート基礎で使用される数値は直近6日間のTDDを基に計算される。これらの数値でオート基礎によるインスリン注入量がコントロールされる訳で、AITもオート基礎注入と密接に関係する重要な項目。そのため、日中にAITを変更しても、それを即座に反映するとポンプのアルゴリズムに矛盾を起こすことになる。それを防ぐためには、6日間のTDDを基に計算される数値と同時に反映する必要がある(←個人的な推測)。

 

まとめ

今回の変更を通じて

  • AITを2時間45分に設定するのが適切(←自己責任による私のケース)
  • AITの変更は日付が変わる午前0時にオートモードのアルゴリズムに反映されるようだ

を確認できた。

 

770Gのオートモードのアルゴリズムは良くできていると思う。ところが、マニュアルに機能の説明はあるが、機能を組み合わせた応用的な使い方は記載されていない。この『機能を組み合わせた使い方』はアルゴリズムと密接に関係しているが、アルゴリズムは公表されていない。そのため、私は、いろいろ試した結果からリバースエンジニアリング的にアルゴリズムを推測している。

 

AITを少しアグレッシブに設定すると、オートモードはデザイン上の目標値120mg/dLではなく、100mg/dLくらいで動くように感じている(←個人的な推測)。元々、770Gは、グルコース値が120mg/dLになったからと言って、グルカゴンを注入して調整する訳でもなく、単に、オート基礎注入をコントロールするだけ。従って、AITの調整により、120mg/dLという目標値は単なる設計値の位置づけになると思う。

食前ボーラス10.8単位、食事開始時131mg/dL、炭水化物81gを食べ、5時間後にグルコース値91mg/dLに落ち着く(下図)。

   

 

770Gでは、基礎インスリンの役割と150mg/dLまでの血糖コントールをオート基礎が担う仕組みになっている。そのため、オート基礎によるインスリン注入量を自分の血糖変動に近づける(連動させる)ことが重要。なお、AITの調整は、同じ設定値で1週間以上使い続けて効果を確認するようにしている。

 

AITを長くすれば、オート基礎で注入されるインスリン量が減り血糖値が高めになる。短くすれば、インスリン注入量が増え血糖値が低く誘導され、低血糖も増える。

 

私は、高血糖を減らすことを優先している。日中であれば、補食で低血糖を防ぎ、高ければマニュアルモードで補正ボーラスしている。就寝中については、眠前の血糖値が低い場合は、補食をする、一時目標の設定でインスリン注入を抑制する、で対応している。眠前の血糖値が150mg/dL以上の場合は、血糖値(グルコース値)を入力して『推奨される補正ボーラス』が表示されるかをチェックし、表示されたらそれに従い補正ボーラスするようにしている。眠前の血糖値が200mg/dLを超えている場合でも、このやり方を守っている(就寝中の低血糖を防ぐために770Gのアルゴリズムを優先する)。