770Gを使い始めてから1ヶ月半は、就寝中マニュアルモードで使っていた(詳しくは「770Gのオートとマニュアルのそれぞれの利点を生かす」を参照)。オートモードを利用するとQOLが向上できると分かり、8/9から就寝中もオートモードにし、1日のほとんど(平均で95%くらい)をオートモードで使うように変えた。
オートモードについて
770Gのオートモードの欠点は
- 目標血糖値が120mg/dLのため、それ以下で長い時間続くとオートモードが解除されてしまう
- 解除になる条件は
- 最小注入レートが2.5時間続いた場合、血糖値入力が要求される
- この要求に応答するまで、セーフ基礎注入に切り替わる
- セーフ基礎注入が1.5時間続くと
- オートモードが解除される
- セーフ基礎が続く1.5時間は形の上ではオートモードだが、センサ・グルコース値に応じて基礎注入が調整されない
目標血糖値が120mg/dLではなく100mg/dLになれば、あるいは、最小注入レートが続く時間がもっと長くなれば、使い易くなる。
この問題は次の780Gになると解決するようなので、今は我慢して使うしかない。
この問題の解決策は血糖値を高め(120以上)に保つこと。そうすれば、オートモードを維持でき、セーフ基礎も起きない。でも、これは本来の血糖コントロールが目指すき姿とは異なると思う。そして、この問題を突き詰めると、770Gを効果的に使ってQOLを高めるか、マニュアルモードで操作して良好なHbA1cを追求するか、というアプローチ方法(考え方)の違いになると思う。で、私は、前者を取ることにした。
640Gに比べて、770Gのメリットは多いと感じている。
- センサ精度の向上と較正アルゴリズムの改良で、センサ・グルコース値が実測と乖離することが少ない(センサ使用の初日を除く)
- 血糖値を実測する頻度が大幅に減った
- 低血糖で補食する頻度、補食の量が減少した
- 150以下であれば、自動的に血糖値を下げてくれる
- 基礎レートを調整する煩わしさから解放された
これらのメリットの大半はオートモードを使うことで実現できる。そのため、積極的にオートモードを使いたいと考え、8/9から就寝中もオートモードにしている。
8/9からの日々の実績を簡単にまとめ、何をどう変えたかを整理する。
基本的な考え方として
- 150mg/dL以下はオートモードに委ねる
- 150mg/dL以上、特に200を超える場合は、補正ボーラスで下げる。その際、日中は100g/dLを目標にボーラス量を決める(ボーラスし過ぎでも、ある程度はオート基礎注入で吸収・調整してくれる)
- 就寝前に高い時は150mg/dLを目指すボーラス量にし、150以下はオートモードに委ねるようする(就寝中の低血糖を避けるため)
- 就寝前に低い時は、130mg/dLになるように補食する
で行っている(”150”は目安的な基準値)。
8/4に残存インスリン時間(AIT)を2時間45分に調整した(詳細は「770Gオートモードのチューニング」)が、これも良い結果になっている。
変更前と変更後の比較
変更前と変更後の12日間を比べる。
変更前(7/28~8/8)
変更後(8/9~8/20)
月日 | 変更前 | 変更後 |
平均グルコース値 | 118.0 | 120.2 |
標準偏差 | 36.6 | 35.4 |
Low(<70) | 2.1% | 2.2% |
In Range | 90.5% | 88.8% |
High(>=180) | 7.4% | 9.0% |
オートモードをフルに使うようにすると平均値が上がる。理由は、オートモードは5分ごとのオート基礎注入が時間をかけて少量のインスリンを注入する仕組みで、血糖値をゆっくり下げるため。
日々の詳細レポート Daily View(8/9~8/20)
グルコース変動グラフ上、●は較正を、○は「要血糖値」に応じてグルコース値の入力を示す。□で囲まれた部分はマニュアルモードの時間帯。
下記で10日間の詳細を見直して感じたことは、もう少し改善しないとQOL向上に結びつかない。眠前にもっと補食する必要があるようだ。
- 8/9
- 就寝中(5:15)に 「要血糖値」が表示され、グルコース値86を入力
- 起床時の実測112
- 8:35 センサを延長使用
- 8/10
- 前夜実測145で、就寝中はオートモード継続(「要血糖値」の表示なし)
- 起床時の実測117
- 8/11
- 眠前97で、糖質10gを補食
- 午前1:10 オートモードを終了して再スタート(セーフ基礎になる時間をリセット)
- 午前4:40 「最小注入で2.5時間経過した」のアラートで、目覚めグルコース値を入力して、オートモード継続
- 起床時の実測138
- 8/12
- 前夜実測145で、就寝中に「要血糖値」の表示なし
- 起床時の実測136
- 8/13
- 眠前126、補食せず
- 午前5:25 「最小注入で2.5時間経過した」のアラートが出たが応じないで放置したため、セーフ基礎注入がスタート
- 午前7:01 セーフ基礎注入で90分経過したため、オートモード終了
- 午前7:09 グルコース値の入力で、オートモード再開
- 起床時の実測83
- 8/14
- 8/15
- 前夜実測148で、就寝中に「要血糖値」の表示なし
- 起床時の実測136
- 8/16
- 眠前実測105で、補食せずに寝る(実験)
- 午前3:32 「最小注入で2.5時間経過した」のアラート → 応答しなかったため、セーフ基礎注入がスタート
- 午前4:03 目覚め、ポンプをチェックするとグルコース値91 → オートモードに切り換え後、朝まで寝る
- 起床時の実測114
- 8/17
- 8/18
- 8/19
- 8/20
このように整理すると問題点が分かり、何をどうすれば良いのかが見えてくる。