12/12 : 「ガーディアンセンサ(3)・トランスミッタGL3の組み合わせで780Gを使用できる?」についての日本メドトロニックの見解を記事後半に追記
昨日(11/27)、メドトロニックは「780Gの販売を開始する」と発表した。
CGMセンサについて気になることがあるので、簡単にまとめる。
780Gの説明書
新しいポンプの説明書はこちら↓から入手できる。
内容は
- はじめてみよう!インスリンポンプ クイックセット版
- はじめてみよう!インスリンポンプ シルエット版
- はじめてみよう!リアルタイムCGM
- はじめてみよう!ハイブリッドクローズドループ
- はじめてみよう!簡単切り替えガイド
- ミニメド780G システムユーザガイド(ポンプアップデート用)
これに加え、動画(はじめてみよう!簡単切り替えガイド)がある。
現在の770Gユーザはアップデート(ソフトの更新)で780Gへ移行する。これから初めてポンプを使いたい人はどのように780Gが導入するのかは不明(まさか770Gを導入後に780Gはないと思う)。
そのため、770Gとの違いを知ることが重要になる。短時間で違いを知りたいのなら、動画(約20分)↓がお勧め。
780Gは、770Gに機能を追加(拡張)したものではなく、まったく新しいポンプと考えた方が良いと思う。
というのは、UI(ユーザ・インターフェース)がアイコン形式となり、較正の考え方(較正を行う頻度など)が大きく変わる、オートモードのアルゴリズムが刷新されている、などの大幅な変更(改善)が行われているので。
780GのCGMセンサ
日本メドトロニックの説明書では、780Gで利用できるCGMセンサは、ガーディアン4センサ(のみ?)となっている。
海外では、780Gでガーディアンセンサ(3)(770Gで使用しているCGMセンサ)を使えることが正式に発表されている。
例えば、今年の6月に780Gへのアップグレードがスタートした米国では、当初は、780Gでガーディアンセンサ(3)/トランスミッタGL3の組み合わせで使い、その後、ガーディアン4センサに切り替える手順で行われた。
日本で780Gとガーディアンセンサ(3)/トランスミッタGL3の組み合わせを発表しないのは、ガーディアンセンサはポンプユーザが米国ほど多くない、2種類のセンサを共存させると混乱を招く恐れがある、メドトロニックのコストを減らすため、と推測。
でも、これは別の問題が招く。780Gにアップデートするときに、770Gのセンサが余っているとどうなんだろう?
ほとんどの利用者は、780Gへの移行までに『770G用のセンサをきっちり使い切る』を行うのは無理と思う。これを目指したら、センサトラブルが起きたらお手上げになってしまう。
私は、センサの不良品に当たっても困ることがないように、常に5~6個余分に確保するように管理しているので、この点は気になる。
海外では、780Gへの移行時に、余ったガーディアンセンサ(3)を交換してくれるケースもあったようだ(Facebookの記事)。
日本では、病院の判断も絡むかもしれない(センサはポンプ関連のサプライの位置づけで、病院が購入していると思うので)。
もっと簡単なのは、780Gで、現在の770Gのセンサの使用を認めるくれること。
実際はこれができるので、ユーザが納得するのであれば、この方法をとれば問題ない。
780Gとガーディアンセンサ3の組み合わせ
米国版の説明書は、2種類のCGMセンサとの組み合わせがある。
この出典は以下です。
「Minimed 780G with the Guardian 4 Sensor System User Guide」のP.59から引用
「Minimed 780G with the Guardian Sensor(3) System User Guide」のP.58~59から引用
上記のとおり、トランスミッタGL3を使えば、ガーディアンセンサ(3)を780Gで使える。
ただし、新しい較正の機能は有効にならず、現在の770Gと同じになるようだ。
追記(12/12)
ガーディアンセンサ(3)とトランスミッタGL3の組み合わせで780Gを使用することについて、日本メドトロニックの回答:
日本国内では、ミニメド780Gインスリンポンプはガーディアン4センサとの組み合わせのみが薬事承認を受けており、ガーディアンセンサ3との組み合わせではご使用いただけません。
(アメリカのFDAの承認と日本での承認事項は異なり、日本では日本の薬事承認に基づき取り扱う必要があります)
ミニメド780Gの添付文書には以下の通り、記載しております。
本ポンプ(ミニメド780G)でセンサ機能を使用する場合は、必ずガーディアン4システム(ガーディアン4センサ:MMT-7040及びガーディアン4トランスミッタ:MMT-7841ZW)を使用すること。ガーディアン3システム(ガーディアンセンサ3:MMT-7020及びGL3トランスミッタ:MMT-7911WW)と併用しないこと[その他の組み合わせは認められておらず、誤ったデータを送受信するおそれがある。]
添付文書 4ページ:
上記回答について、「薬事承認を得ていない」は受け入れるしかないが、780G添付文書4ページの「誤ったデータを送受信するおそれがある」との記載は納得できない。
仮に、この記載のとおり、誤ったデータを送受信する危険があるのなら、この組み合わせではポンプが稼働しないように780Gのソフトを変更すべきと思う。
実際は、日本で提供される780Gと海外で提供されている780Gのハードウエアとソフトウエアに違いがないのだから、この組み合わせで問題なく動くはず。
追記終わり
ガーディアン4センサとガーディアンセンサ(3)の違い
FDA(アメリカ食品医薬品局)の780GのApproval Application(製品承認ドキュメント)に興味深い記載があるので、引用する。
"The Guardian 4 sensor is physically the same device as the Guardian Sensor (3) approved under PMA P160017."
ガーディアン4センサは、ガーディアンセンサ(3)と物理的に同じデバイスである。
下記URL(PDFファイル)のP.14に記載されている。
この事実から、ガーディアンセンサ(3)をガーディアン4センサ用のトランスミッタを接続すればOKでは、とのアイデアが浮かぶ。
実際、米国のユーザで、これを試した人が複数して、問題なく使えることがFacebook(Private groupのMedtronic 670G, 770G, 780G Support Group)に記事がPostされている。もちろん、この組み合わせはメドトロニックのサポート外であり、個人の責任。
ガーディアン4センサはガーディアン センサ(3)と物理的に同じであれば、780Gで「較正が不要はどういう仕組み?」「ガーディアン4センサの精度は?」との疑問になる。
まだ、ユーザガイドで詳細を理解していないので、正確ではないかもしれないが、私は「較正不要は言い過ぎ」と感じている。
冒頭でリンクしたメドトロニックの780G発表に、「1日に3~4回行ってきた定期的な較正を行う必要がなく、血糖測定に伴う穿刺の頻度を減らすことができます。」との記載がある。
また、「はじめてみよう!リアルタイムCGM」では、次の説明が記載されている。
要は、「12時間ごとの較正」との条件が無くなった、が正しい解釈のように見える。
おまけ
この記事を書き終わってカレンダーを見て気づいた。今日は11月28日、7年前に劇症1型糖尿病と診断された日。早いもので満7年、1型8年生だ。
ポンプ生活も6年を超えた。620Gでポンプを始め1年後に640Gへ変わり、昨年6月に770Gになり、来年は780Gへアップグレードになる。技術の進歩に助けられている。