この記事を改訂して、「リザーバの気泡をほぼ完璧に取り除くく」の記事に置き換えました。
インスリンポンプのリザーバから気泡を取り除く方法について、「リザーバの気泡を取り除く」で書きましたが、この手順で気泡を取り除いても、大きな気泡がチューブに現れたことがありました。リザーバの構造に原因があって、気泡を取り除けないと考え、リザーバを分解しました。リザーバ内に空気が残ってしまうような構造であることが分かりました。
バイアルにリザーバを取り付けるための青い半透明のコネクタをリザーバから取り外しました(下図)。この写真はリザーバに接続する側で、リザーバに刺さる針が見えます。この針の長さは5.5ミリです。
リザーバ本体は3つのパーツ(下図のA、B、C)に分解できます。Cはリザーバの本体、Bは針(コネクタの針)が刺さる部分で、ゴムのように弾力性があり、リザーバの突起部にはまるようになっています。厚みは約3ミリです(約3ミリとした理由は、強く押すと潰れて厚みが変化するためです)。Aは、Bが外れないようにするためのキャップです。厚みは0.5ミリです。
これらのパーツで構成されているリザーバをバイアルに取り付けてインスリンの充填をする、あるいはチューブのコネクタを接続すると、気泡が下図のようにリザーバの上部に溜まります(下図のオレンジの部分が、青い半透明のコネクタ、あるいは、チューブのコネクタに相当します)。
青い半透明のコネクタの針(あるいは、チューブのコネクタの針)が約2ミリ、リザーバの天井から出ている状態になるので、記法抜きをしても細かな気泡がリザーバの中に残ってしまう。これを避けるためには、リザーバに刺している針の先端を下図の位置まで移動させることで、小さな気泡まで取り除けるはずです。
具体的な手順を以下に書きます。
上記の構造を念頭に置き、リザーバにバイアルからインスリンを充填する時に気泡を取り除き、カニューレのチューブを接続する時に再び気泡を取り除くという、2段階で気泡抜きを行います。
バイアルからリザーバにインスリンを充填する時の気泡対策
バイアルからインスリンをリザーバに移した後、リザーバを叩き、空気を上に集めます(「リザーバの気泡を取り除く」の1~5)。
気泡を押し出す作業を行う前に、上図の状態で青い半透明のコネクタを反時計回りに回してロックを解除し、コネクタを2ミリほど上に移動させます(下図の状態にする)。
リザーバのピストンをゆっくり押して、気泡を抜きます。この時、ピストンを押しても動かない場合は、コネクタを上に移動させ過ぎている(針が弾力性のあるBに埋もれている)ので、コネクタを少し下へ(元の方向へ)戻します。
気泡は1回で抜けきらないので、気泡抜きを繰り返す必要があります。リザーバを再び叩く前に、コネクタを下図の状態に戻します(これを行わずに、上図の状態でリザーバを叩くと、バイアルの重さでふらつき、不安定になる)。
この作業を3~4回繰り返すと、簡単に気泡が無くなります。
私は、バイアル1瓶をまとめてリザーバに充填した後、日の光が届かない場所に保管しています(冷蔵庫に入れない)。
カニューレのチューブを接続する時の気泡対策
ポンプのリザーバを交換する時、再び、気泡を取り除きます。
チューブのコネクタも針の長さが5.5ミリあるので、同じ方法で気泡抜きを行います。
リザーバにチューブのコネクタを接続します。
「リザーバの気泡を取り除く」の10aの手順でリザーバを叩き、空気を上部に集めます。ピストンを押して、インスリンをチューブに押し出す前に、コネクタを反時計回りに回して、ロックを解除した後、上に2ミリほど移動させます(下図)。
この状態で、ピストンを押し、インスリンをチューブに15~20センチほど押し出します(「リザーバの気泡を取り除く」の10b)。この時、ピストンを押しても動かない場合は、コネクタを上に移動させ過ぎている(針が弾力性のあるBに埋もれている)ので、コネクタを少し下へ(元の方向へ)戻します。
リザーバを叩き気泡を上に集める→ピストンを押してチューブにインスリンを押し出すを2~3回繰り返します(「リザーバの気泡を取り除く」の10c)。この時は、コネクタを元に戻す必要はありません。
チューブ内に押し出したインスリンに気泡が混じっていない状態になれば、気泡抜きが完了です。
気泡抜きが完了したら、コネクタを押し下げ、時計回りに回し、カチッと固定させることを忘れずに行います。これを忘れた状態でポンプにリザーバを取り付けると、チューブが外れる事故になるので、要注意です。
この方法で、リザーバ5個を使いました。かなり良い結果でした。ただ、2日目あるいは3日目で、チューブ内に数個の小さな気泡が出来たことがあります。これは、インスリン内に溶け込んでいる空気が、温度の変化や体の振動などで気泡になって出てきたのだろう、と考えています。この程度は、避けられないし、使用上の問題もありません。