1型でいこう!

My life with type 1 diabetes.

突発性難聴と血糖管理:入院治療を振り返る

昨年末から年初(12/27~1/2)に入院し治療を受けた突発性難聴は、かなり回復した。左耳が聞こえるようになり、耳鳴りもかなり軽減した。

忘れないうちに備忘録を兼ねて入院中の出来事を記事にまとめる。

 

入院までの経緯はこちら↓

taky-t1-life.hatenablog.com

 

発症の原因(私見

今回の突発性難聴は再発。医師によっては「突発性難聴は再発しない」と頭から断定することがあるが、明らかに2度目の発症。

 

3年前の2020年10月、左耳が突発性難聴になり治療を受けた時、担当した医師に「この病気は再発するのですか?」と尋ねると、「再発はない」と断言した。この時は、自分で症状から突発性難聴と考え、1型で通院している総合病院の主治医に依頼して院内紹介の手続きで耳鼻科を受診した。

そして、今回。同じ総合病院の耳鼻科を受診した際、診察した医師に「3年前の突発性難聴と似た感じがする。突発性難聴の再発は考えられませんか?」と聞くと、即座に「それはない」と否定された。

3年前と今回は別の医師だが、同じS大学の医学部卒で医局も同じ。恐らく、その大学では「突発性難聴は再発しない」と教えているのだろう。

 

突発性難聴が発症する原因は解明されていないが、内耳の血流が関係するとの説が有力。

www.hosp.hyo-med.ac.jp

 

兵庫医科大学病院のHPから引用:

ストレスや過労、睡眠不足、糖尿病などの基礎疾患があると起こりやすいといわれています。

明らかな原因は分かっていませんが、蝸牛(内耳)で音の振動を電気信号に変換し、脳に伝える役割をしている有毛細胞が、何らかの原因で障害されることで起こります。ウイルスや内耳血流障害が、有力な説と考えられています。

 

私の場合、新型コロナに感染した直後(10/26)から左の耳鳴りが始まった。体温が平熱に戻ってもシックデー状態で通常よりも高い血糖値が続いた。血糖値が落ち着いても耳鳴りは改善しないで続き、12/15午後から左耳の聴力がほぼゼロになった。

さらに、12/8(金)の眼科受診で、左眼の眼底に糖尿病網膜症による出血が1つあるとの指摘を受けた。前回(8/23)の受診時には出血がなかったこと、HbA1cは6.5%以下を維持していることから、新型コロナ感染が原因で眼底出血したとしか考えられない。

 

左眼の眼底出血と左耳の突発性難聴という2つの異常が体の近い部位で起き、これらは相互に関係があると推測している。

 

これらの事実から、きっかけは新型コロナの感染、1型糖尿病の基礎疾患を持っていることが災いして、血流に影響を与え、今回の発症になったと考えている。

 

入院中の血糖管理

12/26(火)に、K大学の初診外来を受診した。担当のS医師の勧めに従い、速やかに入院して治療を受けることを決めたが、1型糖尿病の基礎疾患を持っていることが問題に。

自分で1型糖尿病の状態を申告したが、それでは不十分(信憑性がない?)で、1型で通院している病院からの情報提供が必要と言われ、その手続きをした。

1型糖尿病の情報提供書は、T部長が私と面談しながら作成したので、次のことが記載されたはず。

  • 発症から7年経過し、インスリンポンプ使用歴は6年でポンプ操作を熟知している
  • 最新のHbA1cは6.3%、患者自身で血糖管理を行っている
  • 患者の判断でインスリン量を決め、適切な管理が行われている

 

初診翌日の12/27(水)に入院すると、耳鼻科の医師から「自分で勝手にインスリンを射ってはいけない」と言われたが、これは「はい、そうですか」とは言えない。ステロイド治療を受けると、通常よりもインスリンの効きが悪くなり、30~60%増のインスリンが必要で、この対応を行えなければ、激しい高血糖になる。そこで、次のように応じた。

この説明で理解が得られ、完全な管理下に置かれることは免れた。しかし、食事用のインスリン以外の食間で補正ボーラスをするときは、事前に担当の看護師に連絡して許可を得てからインスリン投与をする、という条件がついた。

 

病室のベッド脇に、血糖値が誰でも見られるようにスマホをセットした。

 

入院した日の午後からステロイド治療が始まったが、補正ボーラスは担当の看護師に連絡しないで行った。それが問題視されることは一度もなかった。ただ、何単位のインスリンをボーラスしたかの報告が求められたので、(後付けで)対応した。

 

入院初日に、大きな問題が!

初診時に「入院は7日必要」と言われたので、1/2に退院するつもりでいた。ところが、退院予定が8日後の1/3になっている。これにはびっくり!で、想定外。お正月を家族と過ごしたいので、1/2に帰りたい。

入院が1/3まで必要となっている理由は1型糖尿病ステロイド治療で血糖値に影響が出る。その影響を見極めるために、治療が終わった翌日までの入院が必要、と言われてしまった。

主治医(初診で診察を受けたS医師)に「1/2に退院するには、どうすれば良いか?」を尋ねると、返事は「内分泌内科の専門医の同意が必要」との返事。

 

翌日(12/28)、内分泌内科の糖尿病専門医が病室に来て、昨日決められた血糖管理の手順について、再確認が行われた。

  • これまでの実情を理解したので、基本は本人に任せる
  • 食前のインスリン投与は糖質量で決める
  • 食事の糖質量は栄養管理課から提供する
  • 補正ボーラスが必要な時は、ボーラスする前に担当看護師に連絡する
  • ステロイドは段階的に減らすので、6/7日目は血糖値への影響が少なくなると思うので、注意して欲しい

医師がポンプをチェックしたいと言うので、iPadを渡しGuardian Monitorで血糖値変動、Treatmentを見てもらうと、「これならOK」と言ってくれた。

 

12/29(金)も朝イチで、糖尿病専門医が病室に来て、血糖値変動、Treatmentをチェック。そして、「これなら血糖管理に問題ないので、1/2に退院可能と耳鼻科に伝える」との言葉を聞き、内心で「やったー!」と喜んだ。

 

ステロイド治療

1時間かけて、ステロイドを点滴で静脈に入れる。これが毎日の治療。

ステロイドプレドニン)の量は徐々に減量となる。

  プレドニン
第1日(12/27)  60 mg
第2日(12/28)  60 mg
第3日(12/29)  60 mg
第4日(12/30)  40 mg
第5日(12/31)  40 mg
第6日(1/01)  20 mg
第7日(1/02)  20 mg

 

血糖値変動

血糖値が250mg/dLを超えない、を目指した。

770Gのオートモードを維持するか、あるいはマニュアルモードに切り替えて全て自分でコントロールするか、迷ったが、就寝中にステロイドの影響で血糖値が上がることを想定して、オートモードを使うことにした。

そうは言っても、ステロイドの影響で高血糖になるのをオートモードのオート基礎注入でカバーすることは無理なので、高血糖になるタイミングを予測して、積極的に(大胆に)補正ボーラスを行った。

 

積極的にボーラスすると低血糖のリスクが増えるが、それは補食でカバーできる。

院内のコンビニ(ファミマ)で、補食に最適なものを見つけた。ブドウ糖30gのINゼリー、摂りやすく、血糖値の持ちも良い。就寝中に低血糖になりそうな場合、なった場合、これを適当に1/3、1/2などを摂り、歯磨きせずに、お口ぶくぶくで済ました。

 

ステロイド治療の影響はインスリン効果値(ISF)に現れる。私の場合、通常はインスリン1単位で60mg/dLの血糖値を下げるが、この値が30~40mg/dLくらいに落ちる。そのため、TDD(1日のインスリン送量)が増加する。

 

入院1日目(12/27)

 

入院2日目(12/28)

 

入院3日目(12/29)

 

入院4日目(12/30)

 

入院5日目(12/31)

 

入院6日目(1/01)

 

入院7日目(1/02)

 

7日間のサマリー

 

まとめ

K大学病院の初診でS医師に巡り会えたのが良かった。初診で「突発性難聴」と診断されたので、ステロイド治療を速やかに受けられ、聴力を回復できた。初診時にS医師から「突発性難聴ステロイド治療で聴力が回復するのは1/3。これは早期に治療(発症から1週間以内)した場合の数値。○○さんの場合、日数的にギリギリだが、回復する可能性があるので、すぐに治療を行った方が良い」と勧められ、この説明に従った。

 

大学病院の初診は、医局内で優秀な医師が担当する仕組みになっているようだ。初診にはいろいろな患者を診るので、その診察で必要なら他科に回す等が必要で、スクリーニングの役割も担っている。

総合病院で紹介状を書いて貰う際、医師は「耳鳴りの専門医に診て貰いなさい」と言われたので、K大学の初診予約をするときに、「耳鳴り専門医の予約を取りたい」とリクエストした。ところが、「耳鳴り専門医」と限定すると「予約が取れるのは1/19以降になる」との回答。それまで待てないので、最も早く予約できる初診外来の予約に変更し、12/26に受診できた。

 

770Gのアルゴリズムは、直近6日間のTDDでオート基礎注入のパラメータを決めるようになっている。この仕組みでは、ステロイド治療による高血糖に対応できない。そのため、150mg/dLを超えて、さらに高血糖に向かっているとき、マニュアルモードに切り替えて、大胆にボーラスした。この対応が良かったと思う。

 

一方、退院後、直近6日間のTDDでオート基礎注入のパラメータを決めるという770Gのアルゴリズムが悪影響して、しばらくの間(退院から3~4日間)、低血糖が増えた。入院中(ステロイド治療中)のTDDが高いデータが直近6日間に残っているので、オート基礎注入で通常よりも多いインスリンがベーサルされるから、低血糖になる。

 

780Gになると補正ボーラスを自動で行うようになるが、直近6日間のTDDでパラメートを決めるという考え方は踏襲されていると想定している。770Gはマニュアルとオートの間を容易に行き来できるが、780Gでは、オートで使い続けることが前提になっている。そのため、780Gに移行した場合、今回のようなケースでどのように対応するか、このあたりは課題になる感じている。

 

770G/780Gは汎用ポンプなので、例外的な状況に対応できない。私は、ポンプの機能を理解して、自分の環境にどう合わせるかの工夫が大事と考えている。それ次第で、良くも悪くもなると思っている。

今回の入院は、それを試す機会でもあったと感じている。