前回の記事「センサ・グルコース値の誤差を減らす」の続き。
『センサ・グルコース値を較正するタイミングを工夫している。 私の血糖値は、日常的に、70~220mg/dLくらいの幅で変動しています。この変動幅の下と上で較正するように心掛けています。具体的には、下は90~100の間、上は200前後で較正することを目指しています。』と書きました。その理由です。
これまでの使用で感じた、センサの特性(クセ)やポンプの較正アルゴリズムなどをまとめると、次のようになります。
これらについて説明します。
血糖値が高いポイントで較正する
私の経験では、血糖値がある程度高い時に較正しないと、ポンプが表示するグルコース値は実際よりも低くなります。ポンプの表示が低いので安心していると、実際の血糖値はもっと高いことが度々ありました。
例えば、センサの使用開始後、血糖値が100~150くらいで較正を続けたとします。その後、血糖値が250になると、ポンプは、250前後ではない、かなり低いグルコース値を表示します。恐らく、その近辺の較正データがインプットされるまで、低い血糖値を表示した方が安全(使用者が補正ボーラスをするリスクを避ける)との考えでアルゴリズムができているように思います。
センサ・グルコースの精度を維持するために、意識して、血糖値が高い時を選んで較正するようにしています。毎日、朝食1時間後くらいで較正するようにしています。朝食後に較正できない場合、昼食後あるいは夕食後の血糖値が高い時に較正しています。
較正したデータの積み上げでグルコース値が計算される
センサ使用開始直後は、較正で入力した血糖値がグルコース値にストレートに反映されますが、較正の回数が増えるにつれ、ストレートに反映されなくなります。これは、較正したデータが積み上がる形でグルコース値が計算される(過去のデータがグルコース値の計算に使っている)ためだろうと思います。
先日、参加した患者会で、自身も1型でポンプを使用しているK先生と話す機会がありました。K先生は「グルコース値の計算に直前5回の較正データが使用される」と教えてくれました。
このようなアルゴリズムになっているので、較正でノイズを減らすことが、センサ・グルコース値の精度向上につながるはずです。
センサ読み取り値(ISIG値)とグルコースの相関関係は変動する
センサの使用期間6日の間に、センサ読み取り値(ISIG値)とグルコース値の関係が変動します。この変動を予測するのが難しいので、較正のタイミングを工夫することが重要と考えています。センサ読み取り値(ISIG値)とグルコース値の関係が変動する具体例は、この記事の後半で書きます。
センサの特性やポンプのアルゴリズムなどへの対応
私の較正タイミングは、原則1日に3回で、次のように行っています。
- 朝食から1時間後くらいに較正する(この時、200前後になることが多い)
- 午後3~5時くらいの測定できるタイミングで較正する(血糖値が100前後になっていることが多い)
- 就寝する1時間くらい前に実測して、較正する(就寝時に130を目指しているので、その時の血糖値に応じて、補食、あるいは追加ボーラスを考える)
その日の事情で、朝食後に較正できないこともあります。その場合は、昼食後あるいは夕食後の血糖値が高い時に較正しています。1日に1回は、血糖値が高い時に較正しています。
午後3~5時くらいの間の較正をスキップすることもあります。
就寝前の較正は、必ず行っています。
センサ読み取り値(ISIG値)とグルコース値の関係の変動例
較正は、センサ読み取り値(ISIG値)とグルコース値の関係を、実測データから紐付けるためのデータ入力です。
そのため、インプットしたデータ(SMBG実測値)に誤差があれば、表示されるグルコース値がズレます。
下図は、ポンプのISIG履歴に表示される較正完了直後(血液の滴マークの次)に表示される、ISIG値とグルコース値をグラフにプロットしたものです。赤丸の①~⑲は、較正した順番(時系列)です。
一見、ランダムに並んでいるように見えますが、経過日数でグループ分けすると、きれいな規則性があることが分かります。今回のセンサの場合、1日目(最初の24時間)、2日目から3日目、4日目から6日目でグループ化できます。
図を上記の3つのグループに分割します。
下図は、第1日目のデータを残し、他のデータは削除したものです。第1日データ(①~④)は、青と緑の線から外れ、規則性に欠けています。これは、最初の24時間の特徴です。
同様に、第2~3日のデータです。⑤~⑩は青色の線に沿って並んでいます。
第4~6日のデータ(⑪~⑲)は緑色の線に沿って並んでいます。