1型でいこう!

My life with type 1 diabetes.

リブレの日本と本家の米国の違いが興味深い

私は、時々、インターネットで海外の情報を見ています。リブレを製造販売しているアボットも、ポンプのメドトロニックもアメリカの会社です。インスリン製剤も海外の製薬会社で開発されているので、最新の情報や動向を知るために行っています。

 

今日、リブレの情報を検索していたら、日本と米国で使用可能な期間に違いがあることに気がつきました。下図は、アボットのUSのサイトからスクショしました(赤の下線は私が記入)。オリジナルの情報は、ここ です。

 

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  1. 日本のリブレはセンサ起動の1時間後からグルコース値の読み取りができるが、米国では起動してから12時間は読み取りができない。この12時間はセンサのウォームアップ時間と説明されている。
  2. 日本のリブレはセンサー起動後14日間使用できるが、米国ではウォームアップ後10日間で機能が停止する。
  3. 日本では、リブレを使える糖尿病患者に特に制約はないが、米国で利用できる患者は18歳以上の成人に限定され、妊婦の使用は禁止されている(透析している患者も使用できない)。

 

国によって規制が異なるので、このような違いが出るのでしょう。FDA(米国食品医薬品局、米国で販売される医療機器はFDAの承認が必要)の承認の過程で、このような制約になったはずです。

 

アボットは、起動に必要な12時間を「正確なグルコース値を得るため」と説明しています。この12時間は、センサの使用できる日数を10日に短縮させている原因になったと推測しています。このことを、ポンプ/SAPのCGMセンサの仕組みから類推してみます。

 

ポンプ/SAPで新しいCGMセンサを装着すると、センサの初期化(グルコース値が表示できるようになるまで)に約2時間かかります。この初期化の開始直後に、センサの電極に塗られている酵素を間質液になじませるために、電極に2倍の電圧がかけられます。この結果、センサが読み取る間質液のグルコース値(ISIG値)が通常よりも高い値が続きます。そして2時間ほど経過すると、この値が落ち着きます。この段階で、ポンプから較正(SMBGの血糖値の入力)を行い、グルコース値の表示がスターする仕組みになっています。

 

リブレは、CGMセンサと同様に、間質液のグルコース値を読み取るので、リブレのセンサにも酵素が塗られているはずです(SMBGの測定チップにも酵素が塗られている)。リブレで、センサ起動から1時間経過しないとグルコース値を読み取れない理由も、起動直後にセンサの電極に通常よりも高い電圧がかけられ、電極を間質液になじませる処理が行われていると思います。米国では、グルコース値の読み取り精度を向上(安定?)させるため、この処理を変更している、恐らく、もっと高い電圧をかける、あるいは高い電圧を複数回かける等が行われていると想像しています(センサに組み込まれたソフトウエアの変更で容易に実現できる)。この結果、センサの寿命を短く設定することになったと推測しています。

 

上記の内容から、私は、ブログ等で、「リブレのセンサ装着後1日放置してから起動すると精度があがる」との説が都市伝説であると考えています。センサの起動(初期化)をすることで、センサを間質液になじませられるはずです。実際、これまで、リブレの装着直後にセンサを起動させていますが、特に不都合は感じていません。

 

米国のアボットHPで面白いなあと感じたのは、Dexcom CGMというリブレ似のセンサを使用しているユーザー対し、無償でリブレのリーダーとセンサ1個を提供するキャンペーンを行っていることです。FDAの承認の関係で、米国ではリブレの販売が遅れ、後発製品なので、このような乗り換えキャンペーンを展開しているのでしょう。

 

 なお、ヨーロッパでは、日本と同じ機能でリブレが販売されています(英語以外は分からないので、英国のアボット社のホームページでのみ確認)。