ここの「上手な較正で、ポンプ/SAPのグルコース値の精度を上げる 」の続きです。
私の基本的な較正の考えは、
① 起床後(朝食前)に較正する
② 血糖値が高い時(朝食または昼食後1時間ほど)に較正する
③ 就寝前1時間くらいに較正する
で行い、1日に3回、時々4回、多い時で5回の較正をしています。
これまでの経験から、
と考えています。
較正で一番重要に考えていることは、ISIG値との関係です。この仕組み(ISIG値とSMBG血糖値との関係)を理解すると、較正を適切に行えるようになると思います。
ISIG値は、ポンプの「メニュー」から「履歴」を選び、最下行に表示される「ISIG履歴」を選択することで、過去24時間のグルコース値とISIG値を見ることができる。
「ポンプ/SAPのCGM較正はなぜ必要? 」の記事で書いたことですが、自分のISIG値と血糖値の関係を把握すると、とても便利です。
私の場合、
低血糖の場合(血糖値<70) ISIG値が20以下
血糖値が100前後の場合 ISIG値が27前後
血糖値が150くらいの時 ISIG値が40前後
血糖値が200ほどになると ISIG値が50前後
です。これを基準に血糖値を判断したり、較正を考えています。
具体例で説明します。
昨日の就寝前(23時)のSMBGが100でした。この時に較正した結果が下図です。グルコース値99に対し、ISIG値が26.93です。上記の関係にぴったり対応しています。
今朝の起床後、SMBGが85でした。この時、ポンプを確認すると、グルコース値が116、ISIG値が30.39でしたが、較正しました。でも、この時のISIG値は、私の基準値(血糖値が100に対してISIG値は27前後)よりも高くなっています(この原因は体調の変化。ISIG値は間質液なので血糖値と直接的な関係が弱い)。この較正により、ポンプのグルコース値がズレる予感がしました。実際、ズレが起きました。
朝食1時間後にポンプに表示されたグルコース値が171でしたが、ISIG値は55.28もありました。このISIG値では、血糖値が200を超えているはずです。
SMBGで確認すると213でした。約40もズレています。この原因は、起床後のISIG値が高かったので、血糖値とISIG値の対応に影響したためです。この較正により、ズレが改善されるはずです。
較正期限の21時直前(約12時間後)に、次の較正をしました。その結果が、次の図です。SMBGが69に対して、較正直前にポンプに表示されていたグルコース値が65です。ズレがほとんどありません。そして、この時のISIG値は約17で、上記の対応関係になっています。
夕方、ポンプのグルコース値が230を超えていました。14時前に摂った昼食から3時間以上たっているのに、このような高いのはおかしいと思い、SMBGで確認すると、251でした。ポンプのグルコース値とSMBG血糖値とのズレが大きくないこと、ISIGの変動に違和感を感じたので、較正しませんでした。
写真に写っているのは17:02以降のみですが、この直前の16:57のグルコース値が239、ISIG値が61.19という異常な変化でした。5分間にISIG値が10も変化する(5分間に血糖値が50下がることになる)というのは、測定値に誤りがあるとしか思えません。このため、ポンプは同じグルコース値を表示しています(CGMセンサが間質液の値を正しく読み取れなかったことが原因でしょう)。
時刻 グルコース値 ISIG値
16:57 139 61.19
17:02 139 50.63
血糖値251と高いのは、チューブに大きな気泡があったことが原因と思います。この時、注射器でインスリン2.5単位を打ち、チューブのみを交換しました(リザーバとカニューレは継続使用)。
ISIG値を見て、自分の血糖値を把握できるようになると、とても便利です。較正の精度を高めることにもつながります。
なお、CGMセンサが劣化すると、想定値(ISIG値)が乱れる(短時間の間に乱高下する)、ISIG値が低めの数値になったりするので、この点に注意が必要と思います。