1型でいこう!

My life with type 1 diabetes.

「インスリン分泌が枯渇した1型糖尿病とは」のレポート

国立国際医療研究センター・糖尿病情報センターのHPで、『「インスリン分泌が枯渇した1型糖尿病」とは』が公開されています。これは、タイトルどおり、インスリン分泌が枯渇した1型糖尿病患者に特化したレポートで、以下の研究成果として作成されています。

平成 29 年度 厚生労働科学研究補助金 1型糖尿病の実態調査、客観的診断基 準、日常生活・社会生活に着目した重症度評価の作成に関する研究成果として『「インスリン分泌が枯渇した1型糖尿病」とは』が作成されました。 

 

1型糖尿病の患者数がどのくらいいるのか、明示されています。

  • 平成29 年度厚生労働省研究班による疫学調査によると、平成29 年に1型糖尿病で医療機関を受療した全国の患者数は、約11 万5 千人(男性5 万1 千人、女性6 万4 千人)と推計されている → 受療している患者数(≒全患者数)を全人口で割ると、有病率は約0.09%(人口10 万人あたり約90 人)
  • 同研究班のレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いた推計では、1型糖尿病の患者数は約14 万1 千人、有病率では約0.11%
  • 厚生労働省の「平成26 年患者調査」によると、1型糖尿病で医療機関を受療した「総患者数」(平成26 年11 月の調査時点において継続的に医療を受けている患者の全国総数)は、約10 万9 千人と推計され、有病率で表すと約0.09%

これらから、「近年の1型糖尿病の患者数(全年齢)は約10~14 万人、有病率は約0.09~0.11%(人口10 万人あたり約90~110 人)」とされています。結構な人数ですね。このうち、インスリン分泌が枯渇した患者が何人くらいなのかは分からないようです。

 

全体の中でかなりの割合を占める、小児期発症1型糖尿病は、10 万人(人年)あたりの発症率は2.25(男児1.91、女児 2.52)と推計されています。女児の発症率が高いことに驚きました。

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平成25年の小児人口(15歳未満)は1,649万人を基準とすれば、年間350~400人が新たに発症していることになります。ざっくり感覚的に考えると、小児で発症した割合は、全体の70~80%くらいの人数になると思います。

 

1型糖尿病と腎不全と対比させた図が分かり易く、1型糖尿病の説明に使えると思います。

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私は、病気の説明が必要な時、単純に「ある日突然、膵臓が壊れて、インスリンというホルモンが分泌されなくなった」と話します。この一言で分かってもらえない場合は、「自分の免疫が膵臓インスリンを作る細胞を壊す病気に罹り、体内でインスリンを作れなくなった。命を維持する(生きていく)ために、インスリンを体の外から入れる必要がある」と補足説明することにしています。

 

このレポートには、1型糖尿病が発症するメカニズム(自己免疫疾患)の説明、「インスリン分泌の評価」が述べられ、患者の定義として、

  • 劇症1型糖尿病:高血糖症状が出てからインスリン依存状態になる期間が1週間以内
  • 急性発症1型糖尿病:インスリン依存状態になる期間が3ヶ月以内
  • 緩徐進行1型糖尿病:インスリン依存状態になる期間が3ヶ月以上

で区分されるなどが記載されています。この部分を読んで、私が劇症1型と診断されて経緯を納得しました。

 

このレポートは、1型糖尿病のなかでも特にコントロールが難しく、身体的にも社会的にも対応に格別の配慮が必要な「インスリン分泌が枯渇した1型糖尿病」に焦点を当て、分かり易い解説になっています。

 

また、「1型糖尿病の治療と管理」で治療方法の概要、「1 型糖尿病の生活とQOL」で医療費負担の問題についても、記載されています。

 

全部で19ページに盛り沢山のテーマをコンパクトにまとめられています。患者である自分の知識の整理、第3者に説明するときの情報源として役立つ資料です。