1型でいこう!

My life with type 1 diabetes.

1型と白内障の手術

先週、白内障の手術を受けた。11/28(月)に入院、この日は6年前に劇症1型糖尿病で緊急入院した2016年11月28日(月)と同じ日、同じ曜日で、偶然の一致。

1型の発症以来通院している総合病院なので、主治医と眼科の担当医の間で治療歴と現在の状態が共有され安心。そうは言っても”手術”を受けるまでは一抹の不安があった。

 

手術を決めた経緯

2015年11月に眼に違和感(右横45度方向の視界、左横45度方向の視界に歪み・ズレ)があり、眼科クリニックを受診した。緑内障の疑いと白内障の初期と診断された。違和感はプリズムを入れたレンズに変えて解決したが、白内障は進行を抑える点眼薬を使い、定期的に診察することになった。

この出来事から1年後に劇症1型・DKA(糖尿病性ケトアシドーシス)を発症で緊急入院した。退院後、眼科クリニックで定期的に診察を受けてきたが、1年ほど前から、車の運転中に前車のナンバープレートが見えにくくなった。最初は、視力が落ちたのかと思ったが、特定の環境でそうなる。例えば

  • 夕方、太陽が沈み始めるとき、西に向かって運転すると、視界全体に太陽光が広がり、暗い部分が見づらい
  • 夜間、対向車のヘッドライトを眩しく感じ、前方の車両を視認し難い
  • 日中、逆光状態になる前方の車両のナンバープレートを読めない

今年の春ころ、眼科クリニックのK医師に、日中の屋外で眩しく感じることがある旨を伝えた。それから数ヶ月が経ち、暗い夜道を歩くと街路灯の光が視界を占め暗部の物体が見づらい、あるいは、パソコンのモニター画面が眩しく感じて画面上の文字が見づらい、などが顕著になってきた。

要は、視界に明暗差が大きいものがあると暗いものを識別し難い。白内障が原因ではないか思い、8月の受診時に、K医師に自分が感じたことを伝えると、K医師は「あなたの場合は視力が落ちていないので、白内障の手術はまだ大丈夫と考えている。でも、このレベルで手術をする人もいる」との返答。そして、「どうしますか?」と聞かれたので、「手術を受けたい」と即答。

糖内で通院している総合病院のS眼科部長宛の紹介状を書いてもらい、翌日(8/23)総合病院を受診した。

 

 

総合病院のS医師は、「眼内レンズを装着することで解消できる。眼内レンズには種類がある」など、具体的に説明してくれた。

 

私はネットの情報で多焦点レンズ(保険適用外で片眼16~20万円)が良さそうと考えていたが、S医師は「単焦点の見え方が10とすると、多焦点レンズは8くらいになる。細かいことが気になる人には向かない。また、多焦点レンズは装着後にレンズ周囲にフレアが出ることがある。不具合がある場合にレンズを外せないことはないが、その手術はレンズ装着の手術よりも遙かに難しい」と説明。

「先生が手術を受ける必要になったら、どちらを選びますか?」と率直に尋ねると、S医師は「単焦点レンズにします」との返答。

この一連の話し会いで考えが決まり、単焦点レンズにした。

 

初診で手術は決まったが、日程が決まらなかった。

手術について記載された書類を渡された。

  • 4泊5日で行う(月曜に入院、火曜と木曜に片眼づつ手術、金曜に退院)
  • 2泊3日で2回に分けて行う
  • 一泊で手術
  • 日帰り手術

の4パターンから選ぶことができる。いろいろ考え、4泊5日コースにした。

2回目の診察(9/30)で、2ヶ月後の11/28~12/2に入院と決まった。

 

結果、4泊5日コースの選択は正解だった。術後の状態を病院によって管理されるので安心・安全なことが一番の理由。手術から1週間過ぎるまでは洗顔・シャンプー禁止で、1日に4回、3種類の点眼薬を決められた順番で5分間隔で点眼する必要があるが、手術直後は片眼が不自由な状態になるので、それらを遵守する規則的な生活を送ることができる、これが2番目の理由。そして家族の負担を減らす観点でも重要。

また、手術の影響で血糖値が乱れるが、血糖コントロールも楽だった(後述)。

 

手術後の感想は、視界が明るく、クリアになり、これほど術前と術後で良くなる(変わる)とは思わなかった。もちろん、前述した視界の不具合はすべて解消した。

 

白内障は徐々に進行するので、その影響で自分が見ている景色が変化しても気づかずに過ごし、視力が低下(見えなくなる)して、手術に踏み切るケースが多いようだ。私の場合は視力が悪化する前に手術にした。仮に今回手術しなかったとしても、数年後に手術が必要になったはずで、それを早めるだけとの思いもあった。QOLの改善を目指した訳で、結果は◎。

 

入院と手術

11/28(月)午後に入院。

糖内の主治医が入院病棟に対して「血糖コントロールは本人が自分で行えるので看護師の介在不要」と指示しくれたのと、病院食のメニューに炭水化物量を記入した資料をもらったので、楽だった。

 

翌日の午後に右眼の手術を受けた。14時に開始予定が30分早まり13:30に手術となった。昼食直後で血糖値が高くなるはずが低い。直前の血糖値が84mg/dL(実測)だったので、ブドウ糖10gを摂って手術室に移動した。

手術時間は10分で、痛みも無く、スムーズに終わった。手術した眼はガーゼで覆われ、翌朝までは使えない。

 

水曜の朝、ガーゼを取り除き、ひと通りの検査後、医師の診察を受けた。

この日は、左右の眼で術前・術後を比較でき、左眼では白が白く見えていない(うすいベージュがかった白に見える)が、右眼はきれいな真っ白に見え、今までは薄汚れた色で見ていたことが分かり、驚いた。

 

左眼は木曜の朝10時からの手術。ここで、血糖値のトラブル。

火曜の夜から必要なインスリン量が30%ほど増えていた(手術の影響と思う)。木曜の朝食後、ポンプのグルコース値が上昇し続け、8:30に180を超えて上がるので2単位を追加。9時ころにグルコース値256になったので2単位を追加ボーラス。実測すると307だったのでさらに1単位を追加した。

看護師が病室に来たので事情を説明すると、S医師から血糖値を250以下にするとの指示があることを知り、思い切って3単位を追加した。血糖値が下がるか不安だったので、手術の順番を変えられないか看護師に打診したが、できないとの返事。

ポンプのグルコース値よりも、ISIG値の変化は見る方が確実なので、そちらをチェックすると、下がり始めている。9:30に病室から手術室へ移動開始。移動中にポンプを確認すると250に向かって下がり続けていた。10時前に230になり、手術実施。

手術時間は15分で、前回同様、痛みもなく手術終了。グルコース値は手術中に200以下に下がっていた。手術後10:45の実測68mg/dLで低血糖、補食でカバー。

 

血糖コントロール

手術から3日間は血糖値が平常時よりも高くなった。眼内レンズを装着したことで体が反応したのでは、と考えている。火曜の手術の影響が木曜まで続いたようだ。木曜の午前の手術の影響は土曜まで続き、日曜日に平常に戻った。

 

 

インスリン単位あたりの糖質量の推移を入院中とその後で比較する。数値に手術の影響が現れている。

 

Time In Rangeについても、入院中とその後を比較。


糖尿病との関係

参天製薬発行の「糖尿病から眼を守る」という冊子を病院に置いたあった。

この冊子から一部を引用。

 

1型の影響で糖尿病網膜症になる心配が話題になるが、白内障も糖尿病と関係するようだ。糖尿病の眼の合併症が起こる割合として、白内障が20~60%と記載されている。

私の場合、1型の発症前に白内障と診断されているので1型が白内障発症の原因になった訳ではないが、1型になったことで白内障が早く進行したのかもしれないと思っている。