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770Gの「要較正」と「要血糖値」について(追記あり)

770Gの「要較正」と「要血糖値」について、海外Facebookの情報に基づく備忘録。

6/4 22:00 追記・修正しました。

「要較正」について

770Gでは、通常の較正(センサ使用開始時の初回較正、6時間以内の2回目較正、それ以降は12時間以内の較正)と異なるタイミングで「要較正」が起きることがある。そのため、770Gを使い始めた国内ユーザーから「較正が多い」との不満や、就寝中の深夜に較正が必要になった等でが使い難いから使用を中止した/する、などをネットで目にした。

1週間ほど前、クラブレニーからメールが配信され、次のQ&Aが掲載されていた。このことからも較正要求が多いとの問合せやクレームがあることが分かる。

メドトロニックは正しく機能が知られていないことが問題と考えているのかもしれないが、このQ&Aを読んでも「??」であり、納得できないし解決にならないと思う。

 

770Gの「システムユーザガイド」は『センサを起動させてから2時間以内に最初の較正を行い、2回目の較正は1回目の較正から6時間以内に実施する。最初の2回の較正データを入力した後、12時間以内にセンサ較正を再度行う必要がある』(P.206)との記載に続き、末尾で

センサ性能を向上させるために別の較正が必要であることを知らせる追加の「要較正」アラートを受信する場合があります。

「要較正」アラートが表示されたら、較正用血糖値を正しく入力するまで、システムはグルコース値の計算を停止します。

とあるが、どのような場合に追加の「要較正」が起きるのかの説明がない。そのため、このアラートを不意に受け取ると戸惑うことになる。

 

日本で640Gの利用が始まった2018年春には、既に海外(欧米豪)で670GとGuardian Sensor 3が使用されHybrid Closed Loopが使われていた。FacebookのPrivateグループ”Medtronic 670G, 770G, 780G Support Group”には豊富な情報が蓄積されている。"calibaration 12 hours"あるいは"calibration 6 hours"で検索すると、この追加較正に関する書き込みが沢山出てくる。その中で代表的なものを取り上げる。

 

事例1 (2020年10月5日)

昼(12時)に較正を行い、ステータス画面で次回の較正期限が12時間後であることを確認した。午後3時に再び確認すると次回の較正が午後6:07と表示された。センサは使用開始から5日目である。

 

事例2 (2022年5月9日)

センサ使用開始から2回目の較正以降は12時間の較正サイクルのはずが、6時間後に較正が必要になった。これが深夜に起きた。その時、低血糖になっていたが、6時間後の較正に対応しなかったのでアラームが鳴らなかった。最近1~2ヶ月間、この6時間較正が起きる頻度が増えている。

 

これらの質問に対するリプライの中で、参考になるものを引用する。なお、Terry Wittは"Nightscout for Medtronic"の管理者、Kathy Leppertは”Medtronic 670G, 770G, 780G Support Group”の管理者。

ポンプは、センサ読み取り値(ISIG値)に不整合や不安定を検知すると較正間隔を短くする。原因は、センサを不適切な部位(scar tissue 瘢痕組織 ⇒ カニューレの留置などで皮下組織にダメージがある部位 など)に留置した場合に起きることが多い。

 

トランスミッタが寿命(1年)に達しつつあることが原因かもしれないので、注意した方が良い。

最近、センサの留置部位を変更しましたか? あるいは、センサを腹部に留置してませんか? これらに当てはまるなら(特に、腹部にセンサを留置している場合)、センサを別な部位に留置すると解決するかもしれない。また、水分の摂取が足りない場合に起きることがある。

 

なぜ腹部にセンサを留置するのがダメなのかとの問いに対して

ポンプを長期間使い続けて生じたscar tissue 瘢痕組織 (カニューレの留置などで皮下組織にダメージがある部位 など)にセンサを留置したことが原因かもしれない。多くのケースでは、腹部にセンサを留置すると、体内に刺さっているセンサ・フィラメント(電極)が体の動きでいろいろな方向に動くことが原因となる。上腕部のような部位にセンサを留置すると体の動きが電極に影響を与えることが少ない。

大腿部にセンサを留置すると改善するかもしれないが、歩行量が多い場合は必ずしも大腿部が適切ではないように感じる。

 

センサを交換しても1週間に渡り、6時間ごとの較正が頻発するのであればメドトロニックに電話して問題を報告するのが良いと思う。その際、正しく問題を伝える必要がある、即ち、センサの問題ではなく、トランスミッタが寿命(1年)に達しつつある、と伝えるべき。この場合、毎週、センサを交換しているにもかかわらず6時間較正が頻発している訳で、センサに問題がある可能性は低いと推定できる。

 

この問題は

  1. センサ使用開始から12~24時間に、6時間ごとに要較正が表示される
  2. センサ使用期間の後半(5,6日目くらい)に、6時間ごとに要較正が表示される
  3. センサ使用期間中、6時間ごとの要較正が頻発する

の3つのパターンに分類できる。

ISIG値が不安定に変動する場合に起きることが多いので、ISIG履歴を定期的にチェックすることで、問題を把握でき対策に結びつく可能性がある。

 

1と2の問題に対しては、下記の対策が考えられる。

   

     

2枚目のオーバルテープをトランスミッタに貼ると、トランスミッタのみを取り外そうとしてもセンサも一緒に外すことになる。これが課題。7日の途中でセンサグルコース値に問題が起きた場合トランスミッタを外して再接続すればリセットできる、あるいは、7日の期限を越えて再使用する場合トランスミッタを外して充電後に接続したい。このような使い方をするためには工夫が必要(私は2枚目のオーバーテープを貼らずに、別な方法でセンサを腕に固定する予定)。

 

3の問題は、センサ留置が問題、センサ不良、あるいはトランスミッタの劣化が考えられる。留置する部位を変える、センサの交換するなどを行っても起きるのであれば、トランスミッタに原因があるかもしれない。

トランスミッタの寿命は1年なので、1年の保証期間が切れる前に病院に交換をリクエストすることが重要。また、トランスミッタは体に装着したまま入浴したり、激しい運動をしたりするので、1年を経たずに劣化するケースもあると思う。私の経験では、10ヶ月を過ぎたころに劣化してくる。

 

「要血糖値」について

「要血糖値」で血糖値を入力後、較正するか否かを決める画面が表示されるが、『血糖値の入力=較正』ではない。むしろ、「較正する」は例外と考えるべきでしょう。と言うのは、例えば、「要血糖値」が表示された時に血糖値が大きく上昇、あるいは下降していれば、較正すべきではないから。較正に適するタイミングに「要血糖値」が表示されるのは希でしょう。そのため、較正するか否かを決める画面のデフォルトは「いいえ」となっている。

 

スマートガード オートモード スタートガイド」のP.15~16。を抜粋する。「要血糖値」の入力時に同時に較正を行うためには、6)の画面で、わざわざ右に移動して「はい」を選択する必要がある。

 

メドトロニックは、較正の回数について「センサ性能を高めるため、1 日に3 回または4 回、食事時など定期的にセンサを較正することを推奨します。」(ミニメド770G システムユーザガイドP.206)としていることからも、「要血糖値」で較正する必要がないことが分かる。

 

なお、較正の回数を増やせば、ポンプに表示されるグルコースの精度が良くなる訳ではない。むしろ、経験上、頻繁に較正を繰り返すと精度が悪くなることがある。

 

「要血糖値」のアラートが表示された時、較正を行わないのであれば、実測せずに、ポンプのグルコース値を入力することでもOK(自己責任)。

 

FacebookのPrivateグループ”Medtronic 670G, 770G, 780G Support Group”を、"BG required"で検索すると、いろいろな事例を知ることができる。以下はその一例。

 

「要血糖値」が短時間に繰り返される事例

「要血糖値」のアラートが表示された。

2分前に較正を行い、血糖値を入力したばかり。どうした? さっき入力した血糖値はIn rangeだった。ええ、なに、これ?

 

この書き込みに対するKathyのコメント

短時間に「要血糖値」が繰り返されるのは、一般的に、ポンプが想定した血糖値とは異なる値が入力された場合(センサ使用開始の初日に起きるトラブルで、センサ読み取り値(ISIG値)が正しくない場合)。私の経験では、較正が終了するまで待ち、較正完了後に、較正に使用した同じ血糖値を入力すれば解決する。

 

【追記】

Kathyが「較正終了まで待ち、較正が終わってから要血糖値に応える」と述べている理由を解説する(彼女は、別の書き込みで、この原因を詳細に述べている)。

較正の血糖値を入力した直後に「要血糖値」のアラートが表示されるのは、アート基礎レートを維持できずにセーフ基礎レートに移行する条件の一つ「血糖値がセンサグルコース値と35%以上差異がある場合」に合致したことが理由(下記は「スマートガード オートモード スタートガイド」P.20の抜粋)。

 

センサを使用開始した12~24時間くらいまでは、センサグルコース値が血糖値から大きく乖離していることがある。例えば、センサグルコース値が120mg/dLの時に実測したら血糖値が190mg/dLだったので較正したとする。この場合、次のような展開になる。

  • 血糖値とセンサグルコース値の差異は70mg/dLなので35%以上あり、ポンプは自動的にセーフ基礎レートに変更する(上記の『セクション6:セーフ基礎レートに関する情報』の3番目の条件)
  • 同時に、ポンプは「要血糖値」のアラートを表示し血糖値の入力を求める
  • 実測した血糖値190だったのだから、このアラートに対して190を入力することになる
  • ところが、較正中でセンサグルコース値がまだ低いため、ポンプは、セーフ基礎レートの条件に合致するので、再び「要血糖値」のアラートを表示する
  • この結果、「要血糖値」のアラートが繰り返されるループ状態となる

この場合の解決策は、①較正の終了を待つ、②実測した血糖値とセンサグルコース値の差異が35%以下に減少したことを確認する、③「要血糖値」のアラートに応答する(血糖値の入力)、を行うこと。

 

この記事を書きながら、770Gのオートモードの機能を知り、770Gを自分の道具として使い熟すには「スマートガード オートモード スタートガイド」をきちんと読むことであると再認識した。