1型でいこう!

My life with type 1 diabetes.

ヒューマログとリスプロ(サノフィ)を比べる

前回の受診でヒューマログのバイオシミラー、サノフィの「インスリン リスプロ(BS)」が処方されたので使ってみた。

 

バイオシミラーは、特許が切れた先行バイオ医薬品と同じ有効性(注:成分が同じではない)を持つバイオ後続品。後続品なのにジェネリックではなくバイオシミラーと呼ばれる理由は、ジェネリックは先発医薬品と同じ有効成分が含まれているのに対して、バイオ後続品は先行バイオ医薬品と同じ有効性を持つことで承認される(バイオ医薬品の性質から構造が複雑で先行バイオ医薬品との同一性を示せない)ためです。

 

詳細は以下の引用先に説明があります。

 

 日医工のHP「バイオシミラーとは」から引用

バイオ後続品とは,日本で既に新薬として承認された先行バイオ医薬品と同等/同質の品質,安全性及び有効性を有する医薬品として,異なる製造販売業者により開発された医薬品のことです。バイオ後続品は先行バイオ医薬品の特許期間が失効し,再審査期間が満了した後に発売されます。また,バイオ後続品は海外ではバイオシミラーとも呼ばれています。 

 同「バイオシミラーと後発医薬品はどう違うの?」から引用

後発医薬品ジェネリック医薬品)の有効成分は分子量が小さく,構造が単純なため,先発医薬品と有効成分が同一であることを示すことは容易です。先発医薬品と生物学的同等性が証明されれば,先発医薬品の安全性,有効性に基づき承認されます。
一方,バイオシミラーの有効成分は分子量が大きく,構造が複雑なため,同一性を示すことは困難です。そのため,先行バイオ医薬品と品質,安全性,有効性において同等性/同質性を示すことが必要です。つまり,バイオシミラーの開発においては,新薬と同様臨床試験等の多くの試験が行われます。 

 同「バイオシミラーの同等性/同質性とは」から引用

バイオシミラーは品質,安全性,有効性について,先行バイオ医薬品との比較において「同等性/同質性」が求められます。
「同等性/同質性」とは,先行バイオ医薬品に対して,バイオシミラーの品質特性がまったく同一であるということを意味するのではなく,品質特性において類似性が高く,かつ,品質特性に何らかの差異があったとしても,最終製品の安全性や有効性に影響を及ぼさないと科学的に判断できることです。 

 

利用者にとって重要なことは「品質特性において類似性が高く、何らかの差異があったとしても安全性や有効性に影響を及ぼさない」と思います。そのため、バイオシミラー(インスリン リスプロ BS)は先行バイオ医薬品(ヒューマログ)と比べ、製剤の特性(作用発現時間、最大作用時間.作用持続時間を含めた作用効果)に相違があるはずです。

 

添付文書(薬剤に添付される製薬会社提供の医療従事者向け資料)に記載の品質特性はまったく同じで、ヒューマログとの違いを見分けることができない。

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リスプロBSがヒューマログと同じ成分でできている訳ではないので、当然、ヒューマログとの違いがあるはずで、注意しながら使いました。

使用したのは2/22(月)23時から3/9(火)23時までの15日間(バイアル1瓶)です。

血糖値を下げる効果に大きな違いはなかったが、インスリンが効いている時間に微妙違いを感じました。

具体的には

  • 脂質などが多い食事を摂った時、後上がりを防ぐための1〜3単位のインスリンを食後に射つことがあるが、この効果が低く、3~4時間後にじわじわと上がってきた。そのため、追加でインスリンを射つ必要があった
  • 補食する頻度が減り、補正でインスリンを射つ回数が増えた

これは、ヒューマログに比べ、最大作用時間が短いのだろうと考えている。誤解を恐れずに言えば、リスプロBSの効きが少し悪いと思う(個人的な感想)。

 

ヒューマログを使用した15日間(2/8~22)とリスプロBSを使った15日間をデータで比較してみます。

 

平均血糖値(センサーグルコース値)は、リスプロBSを使用した時が高いですね。

  • ヒューマログ使用(2/8~22)  平均121.5  SD33.4
  • リスプロBS使用(2/23~3/9)  平均124.3  SD34.2

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炭水化物1gあたりのインスリン単位数を集計してみました。集計方法は、15日間の基礎とボーラスの総インスリン単位数を、食事と補食で摂った炭水化物の合計で割っています。

  • ヒューマログ使用(2/8~22)   0.145u/g
  • リスプロBS使用(2/23~3/9)  0.164u/g

リスプロ使用時はインスリンが約12.5%増えています。

 

これらの数値の変化は、実感した差異を裏付けています。

 

医療費(薬価)は、ヒューマログ(バイアル)が277円、リスプロBSが194円、差額は830円。患者負担(3割)は249円の減少です。

 

発症からずうっとヒューマログを使い、血糖コントロールに慣れてきました。近いうちにルムジェブが使えるようになることが見えていることもあるので、それまでの短期間、リスプロBSに切り換えて微妙な違いを乗り越えるのはちょっと辛いですね。

今は、ヒューマログのストックがあるので、ヒューマログに戻しました。