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リブレとポンプ/SAPの機能を比べる(2)

前記事にまとめたとおり、リブレとポンプ/SAPのCGMセンサは、共に皮下の間質液のグルコース値を測定していますが、前提している利用形態が異なるため、機能面に違いがあります。

   

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グルコース値の測定機能のみを比べれば、測定できるグルコース値の範囲やセンサの有効日数などの点で、リブレが優れています。単なる機能の比較は不十分であり、以下に利用形態を考えた比較を行います。

 

使用方法の簡便さ:リブレ>CGMセンサ

リブレのメリットは次の3点と考えています(詳細はここ)。

  1. 血糖値トレンドを把握できる
  2. 使用方法が簡単
  3. パソコンでレポートを作成できる

血糖値トレンドはポンプ/SAPでも把握できますが、リブレは、使用方法が簡単で、自宅のパソコンでレポート作成できることで、ポンプ/SAPよりも優れています。

ポンプ/SAPでは、CGMセンサの装着手順が複雑で、手技に慣れる必要があります。具体的には、

  • サータを使いセンサを体に装着する
  • 5分以上(センサの電極が間質液で湿潤される時間)待ってからトランスミッタを接続する
  • トランスミッタの緑ライトが点滅したことを確認する
  • CGMセンサの準備作業に約2時間

を行い、グルコース値の測定準備が完了します。さらに、SMBGで測定した血糖値を定期的にポンプ/SAPに入力して較正を行う必要があります。定められた時間内に較正を行わないと、ポンプの画面にグルコース値が表示されなくなります。

 

グルコース値の確実な把握と精度:CGMセンサ>リブレ

グルコース値が任意に把握できることと表示される値の精度については、利用者によって見方が異なるかも知れません。私は、この点についてCGMセンサがリブレよりも優れていると考えています。ポンプ/SAPは

  • 自動的にグルコース値が記録され、24時間以内の値をいつでも見ることができる
  • 較正することで、SMBGの測定値とグルコース値の乖離を少なくできる
  • CGMセンサが読み取った間質液の値(ISIG値)を見ることで、グルコース値を推定できる

の特徴があります(詳細はここ)。これらの機能により、私はポンプ/SAPが表示するグルコース値に信頼感を持っています。

リブレはリーダーをセンサにかざした時のみグルコース値が数値で記録され、それ以外はグラフで確認するのみです。また、リーダーを8時間センサにかざさなければ、センサのデータは記録されずに消失します。さらに、リブレが表示するグルコース値が自分の血糖値を示しているかを確認する手段は、SMBGで測定するしかなく、不安を感じることもあります。

 

 

 血糖値(SMBGの測定値)からの遅れが少ない:CGMセンサ>リブレ

血糖値(血中のグルコース)が間質液のグルコース値に反映するまで約10分かかります。この遅れに加え、ポンプ/SAPやリブレが処理(センサが間質液の値を読み取り、グルコース値を計算して表示するまでの時間)が必要です。ポンプ/SAPは5分毎に表示し、リブレは15分値を記録しています。このため、ポンプ/SAPは、リブレよりも遅れの時間が少なく、私の経験では、SMBGに対して、ポンプ/SAPは約10~20分、リブレは約20~30分の遅れがあると考えています。

 

まとめ

リブレもポンプ/SAPも、間質液のグルコースを測定し表示する仕組みは、体に装着したセンサ(電極)が読み取った値からグルコース値に変換(計算)・表示するためのソフトウェアで成り立っています。センサ(電極)とソフトウェアは年月の経過で、より良いものが開発されます。この観点で、リブレは、ポンプ/SAP(現在日本で利用できる620Gとエンライトセンサ)よりも後に開発された製品なので、性能面の優位性があります。

一方、患者の視点から見れば、どのようなデバイス(機器)を使うことが自分のインスリン治療に役立つのかで考えるべきでしょう。

昨年8月末にリブレの保険適用が発表されたことで、糖尿病患者が血糖値トレンドを把握し、血糖値のコントロールを改善するための手段が増えました。治療費の問題も大きいですが、自分にどのような方法が合っているかも重要です。血糖値トレンドを把握してインスリン治療する方法として、現在、以下の組み合わせがあります。

  • リブレとインスリン注射
  • リブレとポンプ(パラダイム722、またはミニメド620G(SAPなし)
  • ポンプ/SAP(ミニメド620G)

治療費は上から下に高額になります。

 

今後の期待

海外では、リブレの弱点(かざさないとグルコース値を読み取らない)を補う、BLUCONというデバイスがあります。これは、AMBLOSIAという会社から販売されていて、リブレのセンサにかぶせて装着するデバイス(防水タイプの使い捨てのTrans Am、及び防水機能がなく繰り返し使用できるNightriderの2種類)とスマホで稼働するソフトウェアの組み合わせで動きます。5分毎にリブレの測定値データをBluetooth通信でスマホに送信します。

最新のポンプ/SAPは、MiniMed 670GとGuardian3 Sensor(620GのセンサーはGuardian2)が利用可能で、センサの性能も向上しています。

これらの最新デバイスが1日も早く日本で利用できるようにして欲しいと思います。

 

1/23 9:30&23:00   補足追加と修正