1型でいこう!

My life with type 1 diabetes.

高脂質・高タンパク質の食事:私の対応

780Gで高脂質・高タンパク質の食事への対応方法をいろいろ試し、自分としてのやり方がほぼ固まった。

770Gのときは、食後にマニュアルモードに切り替えて1~3単位を45分くらいのスクエアでボーラスしていた。780Gでこの方法は良くない、理由は、スマートガードの継続が望ましく、マニュアルモードに切り替えるとスマートガードに戻るときに必ず較正が行われるので、マニュアルモードの使用を避けたい。そのため、どうするかを模索した。

 

参考にした資料

FacebookのPrivate Group "Medtronic 670G, 770G, 780G Support Group"で、メドトロニック ・オーストラレーシア作成の資料「MINIMED 670G MANAGING FOOD」)を知った。

オーストラレーシアは、オーストラリア・ニュージーランドニューギニアおよび南太平洋の島々の総称 

 

この資料は、ミニメド670G(770Gと同等)のユーザ向けで、高糖質・高脂質・高タンパク質の食事を摂るときのガイドライン

この資料について、Kathy Leppert氏は次のコメントをしている。

There's a really excellent information sheet at the link that can help you with "challenging" meals such as high protein, high fat, and large amounts of carbs, all of which will slow your digestion and create delayed, stubborn, and sustained highs for hours after you eat.

この資料は、高タンパク、高脂肪、高糖質がある「チャレンジングな」食事(消化を遅らせたり、食後に血糖値の後上がりを起こしたり、厳しい高血糖が続く食事)を摂るとき役立つ非常に優れた情報が記載されている。

資料から一部を引用:

 

MEAL TYPE表の日本語訳:

食事タイプ マニュアルモード オートモード
高糖質 食前15分にボーラス 食前に80%をボーラスし、食後1時間に20%をボーラス
高タンパク質(糖質なし) 食前に糖質15g相当をボーラス、各自の結果に応じて増量(調整)する
高タンパク質(糖質あり)

糖質量で決まるインスリン量を20~30%増量

デユアルボーラスを70:30の比率で3時間以上で設定

糖質量で決まるインスリン量を20%増量

食前に70%をボーラスし、食後1時間に30%をボーラス

高脂質、高タンパク質(糖質あり)

糖質量で決まるインスリン量を20~40%増量

デユアルボーラスを60:40の比率で3時間以上で設定

糖質量で決まるインスリン量を20 ~30%増量

食前に60%をボーラスし、食後1時間に40%をボーラス

 

私の理解と対応

前掲の資料は

  • 高糖質、高脂質、高タンパク質の食事を摂ったときに不足するインスリンを、カウントした糖質に上乗せする形で簡易的にカバーする
  • 事前(食後1時間)にボーラスして高血糖を起こさないようにする
  • 増量や分割の割合は目安であり、状況に応じて修正する

がポイント。

私が770Gで行ったやり方と考え方は同じで、異なる点はマニュアルモードでスクエアを使っていた部分を糖質の増量で対応していることと、オートモードによる注入分を考慮していること。

なお、マニュアルモードの内容はペンユーザの参考にもなると思う。

 

これらを踏まえ、私は780Gで、次のように行っている。

  • 増量は、糖質に対する割合ではなく、食事の内容で決める(経験値に基づき増加するインスリン量を決める)。例えば、カレーのときは3~3.5単位を増量、とんかつは3単位、等
  • スマートガードでカバーされる注入量は予測不可能できないので、考慮しない(ボーラスし過ぎであればオート基礎で調整されることも想定)
  • ボーラスを簡単にするために、食前にカウントした糖質に対応するインスリン全量をボーラスし、30~60分後に増量分を糖質量に換算してボーラスする

 

以下に実例を紹介。

 

実例1:コロッケバーガー

コロッケを挟んだバーガーを食べたときに、2つの方法を試した。

 

① 食前にカウントした糖質に対応したインスリンをボーラスしただけで、ポンプに依存した場合(4/01)

ピークの血糖値は250mg/dLを超えたが、ピークに達する前にスマートガードの自動補正ボーラスが働いた。

  • 12:44 5.55単位を食前ボーラス
  • 13:00 食事(コロッケバーガーと牛乳200ml)
  • 自動補正ボーラス(合計 3.00u)
    • 14:14 0.30u
    • 14:24 0.60u
    • 14:54 0.40u
    • 14:59 1.50u
    • 15:04 0.20u
  • 14:32 血糖値測定 200mg/dL (グルコース値 186mg/dL) → 較正
    (センサ使用初日だったので較正した)
  • 14:30~16:00 オート基礎(約1.60u)

 

② ほぼ同じ内容の食事を食べ、30分後に追加ボーラスをした場合(4/08)

昼前に血糖値が低かった(83mg/dL)ので補食した。この影響で、グルコース値が156mg/dLに上昇。

食後のピークは200mg/dLで、その後下がり、100mg/dLに着地。

  • 13:04 7.45単位を食前ボーラス
  • 13:15 食事(コロッケバーガー、牛乳200ml、ヨーグルト)
  • 13:17 2.10単位をボーラス
  • 15:07 血糖値測定 190mg/dL (グルコース値 182mg/dL、較正なし)

 

実例2:ロースカツ

脂身のある厚いロースカツを食べた場合(4/5)

昼食と夕食を兼ねた食事として、外食でロースカツ定食を食べた。外食ではいつもご飯を○○gとお願いして計ってもらうようにしている。かなり肉厚で脂肪もついているロースカツだったが、血糖値の推移に大きな問題はなかった。

使用したインスリンがルムジェブ(一時的に使用、通常はリスプロBSを使用)だったので、切れが早く、19:30ころに120mg/dLまで下がった後、上昇に転じたが、スマートガードの自動補正ボーラスが働き、22:30ころにピーク210mg/dLから下がり始めた。

  • 15:00 グルコース値95mg/dLで糖質20gを補食 → 血糖値が急激に上昇
  • 15:53 6.30単位を食前ボーラス(外食時は分割ボーラスで対応)
  • 16:00 3.65単位をボーラス(食事の一部が配膳されたので追加)
  • 16:15 0.70単位をボーラス(全ての食事が配膳され、不足分を追加)
  • 16:28 2.80単位をボーラス(脂質、タンパク質 ← 射ち忘れを防ぐために店を出る前にボーラス)
  • 20:04~21:34 自動補正ボーラス12回(0.15u~0.40u:計 2.40u)
  • 22:04~22:29 自動補正ボーラス5回(0.15u~0.35u:計 1.15u)
  • 0:09~1:34 就寝中 自動補正ボーラス4回(0.10u~0.40u:計 0.85u)
  • 7:38 起床後 実測 90mg/dL (グルコース値 88mg/dL、較正なし)

 

実例3:カレーと焼売

夕食(3/29)でカレーを食べ、翌日の朝食(3/30)で焼売を食べた場合

夕食前に低血糖で糖質5gを2回(17:58 81mg/dL、18:28 88mg/dL)補食した。低血糖のときはセーフ・ボーラスが働き、必要なインスリンをボーラスできない。これを防ぐために補食。

  • 18:49 10.40単位を食前ボーラス(3分割)
  • 19:05 食事(カレーライス、サラダ、ビール等)
  • 19:46 2.25単位をボーラス

就寝前(23:50)のグルコース値が低い(80mg/dL)ので、糖質10gを補食。眠前の実測値128mg/dL。

就寝中の低血糖(70mg/dL)のアラームで目が覚め(3:20)、糖質10gを補食して、寝直す。この補食で血糖値が上がり、自動補正ボーラス0.35uが行われた(3:45)。

起床後:

  • 7:41 実測 104mg/dL
  • 7:56 10.35単位を食前ボーラス
  • 8:20 食事(ご飯、納豆、焼売、味噌汁等)

焼売の脂質が高く、いつもは食後に追加ボーラスするが、食後のグルコース値の上昇が緩やかだったので追加をスキップした。

グルコース値の動向を確認してから、追加ボーラスをするかどうかと判断できることもメリット。

 

実例4:鶏の唐揚げ

夕食で鶏の唐揚げと南瓜の煮物を食べた場合(4/08)

唐揚げは好きな料理の一つ。必ず後上がりがあるので、常に追加ボーラスするようにしている。

  • 18:50 8.70単位を食前ボーラス
  • 19:00 食事(鶏の唐揚げ、南瓜の煮物、ポテトのバター炒め、マカロニサラダ等)
  • 19:30 2.40単位をボーラス

食後のピークが170mg/dLで、きれいな曲線を描いた。就寝前の実測132mg/dL。

 

実例5:帆立フライ・海老フライ・蟹クリームコロッケ

外食で、少し遅めの昼食として、帆立フライ・海老フライ・蟹クリームコロッケのセットメニューを食べた場合(3/13)

ランチのセットメニューを食べたので、スープ、サラダ、メイン、デザートと順番に出てくる。食事を見てから3回に分けてボーラスした。ライスを選択して170gで計量をリクエスト。

  • 13:25 8.90単位を食前ボーラス(メニューを見て、注文直後にボーラス)
  • 13:40 メインディッシュを食べる
  • 13:40 1.55単位をボーラス(不足分を追加)
  • 13:55 4.20単位をボーラス(デザートにプリン・ア・ラ・モード、かなり高糖質)

  

なだらかな変動で推移。食事に時間がかかるときは、そのスピードに合わせて、分けてボーラスしている。以前は、コース料理のとき、お皿ごとにカウントしたこともあったが、今は、ある程度まとめてボーラスするようにしている。

 

まとめ

脂質やタンパク質がそれほど高くなければ、スマートガードに任せれば自動補正ボーラスでカバーできる。私は、高血糖を避けたいと考えているので、食事に応じて食後の追加ボーラスを行うようにしている。

ただ、それが外れて、低血糖になることもある。その場合は、補食で対応すると割り切っている。

 

780Gスマートガード:食事ボーラスで異常な調整が行われる現象

780Gの使い始めから悩まされ続けてきた問題についてまとめる。

 

スマートガードのボーラスウィザードで糖質量をインプットすると、糖質比から計算されるインスリン単位数が『調整』により大きく差し引かれる。この『調整』は、「(目標-グルコース値)÷インスリン効果値」で行われると考えていたが、それとはまったく異なる現象。

 

一番戸惑ったのは、ボーラスされるべきインスリンの全量がマイナス調整され、ボーラス量がゼロになったこと。「アルゴリズムのバグ?」と考え、メドトロニックに問い合わせたが、スペックとの回答だった。

 

メドトロニックの回答

この現象についてのメドトロニックの回答。

スマートガードボーラスは、過去に注入したオート基礎や自動補正のインスリン量、現在のセンサグルコース値(または血糖値)、センサグルコース値の傾き等を考慮した上で、調整のインスリン量を決定します。

過去にインスリン量が多く入っている場合や食後低血糖が予測された場合は、調整によりボーラス量が減量されます。
場合によっては糖質量を増量した場合、調整数でボーラスインスリン量をゼロとして計算する場合もございます。

これは食事ボーラス投与後に発生する低血糖のリスクを避けるため、ボーラスインスリン量を減量し(場合によってはボーラス量をゼロにする)、その後に発生する食事による血糖上昇をオート基礎と自動補正でカバー(対処)する仕組みとなっております。

この説明では、どのような場合にこの現象が起きるのか、どうなると『調整』によりボーラス量がゼロになるのか、具体的な条件(状況)が分からない。

もっと大きな問題は、この現象についての説明がマニュアルに一切記載されていないので、どう対応すべきかが分からない。そのため、初めてこの現象に直面したユーザは頭を抱えて困惑すると思う。きちんとしたガイドラインが必要と思う。

 

Safe Meal Bolus と Safety module

"780G Safety module"でネット検索して、Medtronic Canada作成の”Let's talk about Safe Meal Bolus”の資料 を見つけた。この資料には、食事のボーラス時の『調整』について説明が記載されている。この現象を理解する上で、参考になる。

https://diabeteseducatorscalgary.ca/uploads/PDF/MiniMed_780G_Safe_Meal_Bolus_-_Patient_Training_Resource.pdf

 

一部を引用し、日本語訳をつける。

 

What is Safe Meal Bolus?

Safe Meal Bolus is a safety feature that will reduce the amount of meal bolus insulin if the system predicts a hypoglycemia (hypo) would occur if the full bolus was given.
Safe Meal Bolus is important because you may have more insulin in your system before meals as a result of automatic (auto) correction boluses.

Safe Meal Bolusは、インスリン全量(糖質比と糖質量で計算されるインスリン単位数)をボーラスすると低血糖を起こす可能性があるとポンプが予測した場合、ボーラス量を減らす安全機能です。

食前の自動補正ボーラスにより体内に多くのインスリンが残っているかもしれないので、Safe Meal Bolusは重要です。

What does Safe Meal Bolus take into consideration?

Safe Meal Bolus considers many things in the bolus calculation before suggesting an insulin dose.

These include:

  • current blood glucose or sensor glucose
  • current glucose trend
  • insulin on board from recent meal insulin boluses
  • manual corrections or auto correction boluses
  • carbohydrates (carbs) entered into the bolus wizard
  • estimated carbs remaining from previous meals

Safe Meal Bolusは、推奨するインスリン投与量を表示する前に、以下の情報を考慮してボーラス計算を行う。

  • 現在の血糖値またはセンサグルコース
  • グルコースの変動傾向(下降・上昇)
  • 直近の食事に投与したインスリンの残存量
  • 手動補正または自動補正されたインスリン
  • ボーラスウィザードでインプットされた糖質量
  • 前回の食事でインプットされた糖質の残存量(推定値)

Safety module

Once it has this data, it runs it through a safety module to predict what the lowest glucose value could be four hours after a meal. If the glucose level in that 4-hour period is predicted to be low, the algorithm calculates the largest bolus amount that would be safe to give without going low.

 

これらのデータを得て、ポンプはSafety moduleを実行し、食事から4時間の最も低い血糖値を予測します。この4時間のグルコース レベルが低いと予測される場合、アルゴリズムは、低血糖を起こさずに安全にボーラスできる最大のインスリン量を計算します。

 

Safety Moduleの動き(実例1)

Safety moduleの動きを知ることが必要と思うので、それが分かる動画を示す。

この動画()は、インプットした糖質量に応じて、Safety moduleにより『調整』され、ボーラスできるインスリン量が変動する様子を撮ったもの。

www.youtube.com

 

動画撮影時のセンサグルコース値は96mg/dL、ポンプ内のインスリン効果値がインスリン1単位に対して60mg/dLと想定すると、調整は(100-96)÷60≒0.1単位、この調整量が基本となる。

カウントした糖質量が80gと糖質比7.2g/uから、ボーラス量は11.1単位(80÷7.2=11.1)を想定した。糖質量が50gくらいまでは0.05~0.10単位の調整となり、想定どおりの動きになっている。ところが、糖質50gを超えるあたりから糖質量が増えるにつれて調整される量も増加し続け、糖質が80gで1.80単位の調整になり、ボーラスは9.3単位と表示された。

これがSafety moduleによる調整。

 

残存インスリンの影響(実例2)

(実例1の続き)カウントした糖質80gに必要なインスリンは11.1単位だったが、Safety moduleによる調整が大きかったので、とりあえず糖質50g分のインスリンをボーラスし、残りは食後にボーラスすると決め、8:31に糖質50gをインプットして6.85単位をボーラス(50÷7.2=6.95から-0.1単位の調整)した(ボーラスの分割)。

朝食を食べ、約1時間後の9:24、残りの糖質30gに必要なインスリンをボーラスしようとした。グルコース値が140mg/dLに上がっていたので大丈夫と考えたが、その見通しは甘かった。

8:31にボーラスした分の残存インスリンがあるため、Safety moduleによる調整が-1.25単位となった。この調整量は、残存インスリンのみが原因ではなく、約50分前にSafety moduleに引っかかったことも理由かもしれない(ポンプ内でその旨のフラッグが付くと推測)。

調整量の割合:-1.25/4.15=-30%

 

糖質比の影響(実例3)

(実例1と実例2の続き)動画撮影のとき、続けて糖質比がどのようにSafety moduleの調整に影響するかをチェックした。

9:24でグルコース値は140mg/dLに上がり、上昇が続いている(朝食の影響)。

 

糖質比:8.0g/u(7.2g/uから変更)

調整量の割合:-0.7/3.75=-20%

 

糖質比:8.5g/u

調整量の割合:-0.35/3.50=-10%

 

糖質比:9.0g/u

調整量の割合:0.00/3.30=0%

 

糖質比:9.5g/u

調整量の割合:0.00/3.15=0%

 

糖質比:9.5g/uで、糖質80gをインプット

調整量の割合:-1.00/8.40=-12%

 

糖質比が緩やかになる(1単位に対する糖質量が増える)ほど、Safety moduleで調整される量が減少するように見える。

Kathy Leppert氏は、FacebookのPrivate Group "Medtronic 670G, 770G, 780G Support Group"で、Safety moduleによる調整を分析し、TDDと糖質比によって変動すると述べている。

 

グルコース値が低い(70mg/dL未満)場合(実例4)

私の場合、食事用のボーラスの大半(70~80%の割合)で、Safety moduleによる調整が行われる。この1ヵ月間の観察を通じて、Safety moduleの動き方を把握してきたが、恐らく、私の理解が全てのケースになるとは思わない。しかし、インスリン全量がマイナス調整されるケースは、センサグルコース値が低く、下降している場合に起きていると考えている。

 

夕食の糖質を90gとカウントして、ボーラスウィザードにインプットしたが、全量が調整され、ボーラスはゼロとなった(3/8 金)。

 

この直前の18:55、グルコース値が77mg/dLだったのでブドウ糖10gを補食した。この補食から15分経っているので、血糖値は上昇していると考え、食事用のインスリンをボーラスしようとした。血糖値が上昇しても、間質液に反映されるまで10~15分の遅れがあるので、センサグルコース値ではそれが未反映となった。

 

1分後の19:11、糖質40gのインプットでも全量が調整され、ボーラスはゼロ

 

さらに3分後の19:14、糖質40gに対して調整が-0.65に変化し、ボーラスは4.05

ポンプのグルコース値は68mg/dLのままで、19:11から変化していないが、センサ読み取り値(ISIG値)が変化した(ISIG値は19.56→19.76と上昇に転じた)ため(血液内のグルコース濃度が間質液に反映)、異なる『調整』になった。

 

4分後の19:18、グルコース値72mg/dL(ISIG値は20.56)に上昇、糖質40gに対して調整が-0.55に減り、ボーラスは4.15単位

 

グルコース値なし」の場合(実例5)

Safety moduleはセンサグルコース値に応じて『調整』を行うようなので、ボーラスウィザード画面に「グルコース値なし」が表示されているとき(ポンプがセンサ読み取り値を受診できないとき)、調整が無くなるのでは、と思い、チェックした。

 

結果は、グルコース値がある場合と同様に、大きな『調整』が起きた。

 

新しいセンサに交換し、「センサ準備中」に食事用のボーラスをした(3/8 金)。

トランスミッタを外す直前のグルコース値は126mg/dLだったので、低血糖の状態ではない。それでも、糖質82gのインプットに対して、調整が-3.70単位となった。

 

調整を受け入れた場合(実例6)

ポンプが示す『調整』をそのまま受け入れると高血糖になるので、私は、基本的に、それを無視して、必要なインスリンをボーラスするようにしているが、そのまま受け入れたらどうなるか、試してみた。

 

3/29(金)の昼食の糖質52g、必要なインスリンは52÷9.5=5.45単位である。このとき、0.65単位の調整が表示され、4.80単位をボーラスした。グルコース値が156mg/dLだったが、残存インスリンが0.95単位あったため、この調整が行われたようだ。

 

予想どおり高血糖になったが、興味深いことが起きた。

自動補正ボーラスが5分ごとに連続して5回、合計1.80単位の注入が行われ、高血糖から回復した。

  • 13:40  0.40 単位 (209mg/dL)
  • 13:45  0.45 単位 (221mg/dL)
  • 13:50  0.45 単位 (233mg/dL)
  • 13:55  0.30 単位 (236mg/dL)
  • 14:00  0.20 単位 (241mg/dL)

注:括弧内は、そのときのグルコース

Safety moduleによる調整が行われた場合、ポンプ内にフラッグがたち、グルコース値が高くなるとタイムリーに自動補正ボーラスが行われるように見える。血糖値が高くなるリスクはあるが、きちんとリカバリーされる。

 

私の対応方法

私は、次の方法で対応している。

1.糖質比を見直した

  • 昨年7月に朝食後の200mg/dLを超える高血糖への対応のため、朝食の糖質比を7.2g/uに変更した(それ以前は8.0g/u)
  • この設定はインスリンを多めにボーラスしている。そのため、780Gになって朝食後の補食が多くなった。また、Safety moduleの影響を避けるためにも変更が必要と判断した
  • 元の8.0g/uに戻した(3/7から)

 

2.食事の30分くらい前にグルコースの変動を確認する

  • 30分くらい前のグルコース値が下降していると、食前のボーラスでSafety moduleにひっかかることが多い(ボーラスがゼロになる原因)
  • ブドウ糖を補食し、食事のボーラス時には上昇傾向になるようにする

 

3.『調整』によりボーラスがゼロになる場合

12:26 ボーラスウィザードでボーラスがゼロとなる(3/27 水)→ ブドウ糖5gを補食

 

12:49 グルコース値130mg/dLに上昇 → 全量のインスリンをボーラス

 

4.『調整』が少ない場合、次の2とおりで対応する

① 必要なインスリン量をボーラスできる糖質量に増量する

18:48 カウントした糖質33gをインプットすると、-1.05単位の調整となる(3/24 日)

 

3.85単位のインスリンをボーラスするために、糖質量を41gに増やしてボーラス

 

780Gを使い始めて間もない3/6に、『調整』でボーラス量が大きく減らされるのを回避するため、糖質64gを111gとしてインプットしたが、このような2倍ちかい増量を行うべきではない、と考えている。

 

② 2回に分けてボーラスする

①は、実際と異なる糖質をインプットするので、増量の割合が大きく実態とかけ離れていると、アルゴリムに影響を与える恐れがある(冒頭で引用したMedtronic Canadaの資料に、アルゴリズムが糖質量を考慮する旨の記載あり)。

ボーラスを行うと「○○g 糖質が保存されました」のメッセージが表示され、インプットした糖質量が記録されるのは、これを裏付けているように感じる(770Gでは、このメッセージがない)。

 

これを避けるために、調整が行われない糖質量(食事の糖質を2分割する等)でボーラス後、続けて不足分をボーラスする。

あるいは、高脂質の食事への対応を兼ねて、糖質の60~70%に相当するインスリンをボーラスし、食後30~45分後に残りのインスリンをボーラスすることもある。

なお、3回に分割してボーラスする場合もある。

 

2024.3月の受診結果と780Gの4週間を振り返る(追記あり)

3/29 ”4週間使用して感じたこと”を追記

今日は受診日、780Gになって4週間の節目で受診。

 

受診内容

ヘモグロビンA1cが0.4%下がった。ある程度下がるとは予想していたが、これほど改善するとは思っていなかった。明らかに780Gの効果。

平均グルコース値が下がり、In range(70~180mg/dL)が93.2%に改善した。180mg/dL超(TAR)の割合が前回の8.1%から4.1%に半減したことが大きい。

 

ケアリンクのレポートで、780G()と770G()の各1ヵ月間を比較。

 

780GのAHCL(Advanced Hybrid Closed Loop)は優れている。

海外のFacebookで、「780Gは素晴らしい」「780Gはゲームチェンジャー」などのコメントを見るが、まさにその通り、と感じる。

 

4週間使用して感じたこと

4週間を振り返る。

 アップデートのタイミング

金曜日にアップデートしたのが良かった。780Gは770Gとは異なるアルゴリズムで動く(アルゴリズムが一新されている)ので、使い始めの2~3日はポンプ任せにして動きを把握した。

770Gのアップデートを金曜の午前に行い、780Gとして動き始めたのが午前11時過ぎ、この時刻から5時間後の午後4時過ぎにスマートガードがスタート。

土日を通じて、スマートガードの食事後の動き、就寝中のオート基礎注入とセーフモードの関係はどのように変わるのか、などを把握した。

このときの基本的な考え方は、『770Gでの使用方法を忘れ、すべて780Gスマートガードに委ねる』でアプローチした。

 

 センサの精度と較正 

780Gのガーディアン4センサでは、較正の条件が取り払われているので、とても楽になった。でも、まったく較正なしで7日間使用できる訳ではない(こう考える理由は幾つかある。ここでは説明を省く)。特に、初日は、センサ読み取り値が安定しないので、私は、初日に3回の較正を行うようにしている。

それ以降は、日に2~3回の実測を行い、センサグルコース値を比べ、ズレ(乖離)があると感じた場合、実測値を780Gにインプットして較正している。日に1回の較正を行うのが良さそうに思う。

センサグルコース値が実際の血糖値と乖離していると、折角の自動補正ボーラスがきちんと働かない。結果、血糖管理に影響する。それを避けるために、実測は欠かせない。

 

 食事のボーラス 

この4週間、食間でマニュアル補正したことがない。

ボーラスウィザードにカーボカウントした糖質をインプットして、ポンプに設定している糖質比から計算されるインスリン単位数をボーラスする。その後は、780Gのスマートガードの、オート基礎注入と自動補正ボーラスによるコントロール、というルーチンで生活している。こう書くと、バラ色のように見えるが、重要なことが3つある。

 

一つは、糖質比がある程度の正確さが必要なこと、カーボカウントが合っていることが必要。私の場合、糖質比が合わなくなると把握できる仕組みを作っている(これで、ときどき糖質比を見直している)。

 

二つ目は、カーボカウントが間違っていることがある。カウントがオーバーであれば低血糖に、アンダーであれば高血糖になる。低血糖は補食でカバーするしかないが、高血糖は780Gのアルゴリズム(スマートガード)でカバーされる部分がある。これでかなり助かっている。

カーボカウントが大きくハズレているときは、スマートガードだけではカバーできない。例えば、3/26の夕食で、糖質計算に誤りがあったようで、300mg/dLちかい高血糖になった。食後に気づき、後追いで追加ボーラスした。

 

3つ目は、高脂質・高タンパク質の食事(カレー、とんかつ、など)を摂った場合。780Gが自動的に高脂質・高タンパク質を食べたことを把握できない。放置すれば高血糖を起こす。私は、食事の内容でボーラスを工夫している。これについては別記事にまとめたい。

 

就寝中の血糖値 

780Gになって、寝ている間にポンプに起こされたり、低血糖に悩まされることが減った。

注意していることは、眠前に低血糖で補食したとき。この状態で寝ると血糖値が上昇して自動補正ボーラスが働き、低血糖になる可能性が高い。これを避けるために、必ず一時目標をセットしている。一時目標が設定されている間は自動補正ボーラスが動かない(これを知っていると、いろいろな場面で役立つ)。

オート基礎が最小注入レートで達する制限時間は『3~6時間』と変更されたが、私の場合、この制限時間は常に3時間。770Gのときはこれが2.5時間で、その後セーブモード1.5時間だった(合計4時間)。780Gでは、制限時間に達するのが3時間と、達してからスマートガードが終了するまで4時間あるので、合計7時間になった。これにも助かっている。

私の基本的なルーチンは、眠前に実測、低いときはブドウ糖あるいはINゼリーを補食、必ず一時目標を午前3:30までセット(午前4時ころから暁現象で血糖値が上がることが多い)、です。

就寝中に、オート基礎が最小注入レートで制限時間に達して『スマートガード維持』の状態になり、「血糖値が必要です」のメッセージが表示されることがある。その場合、低血糖になっているので目が覚まし(スマフォのアラームが鳴るようにしている)、補食して、再び寝る(血糖値を入力しない)。

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780Gの設定値 

当初は、スマートガードの目標はデフォルトの100mg/dLだったが、1週間の実績で就寝中の低血糖が多いので、3/9から目標を110mg/dLに変更した。この変更で、就寝中の低血糖が減った。

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ボーラスの調整 

780Gになって最も悩まされたのは、ボーラス画面で異常な調整が行われること。状況によっては、インスリン全量がマイナス調整され、ボーラス量がゼロとなり、インスリンを射てないことがある。そうなると、食事ができない。

今は、これに対応する術を会得したので、大きな問題ではない。これについても別記事にまとめる予定。

 

4週間の記録

TIR

 

AGP

 

Weekly sucess

 

Week to week

 

Hourly stats

 

780Gスマートガード:自動補正ボーラスの効果

780Gで初めて220mg/dLを超える高血糖になり、自動補正ボーラスがどの程度の働きをするのかを観察した。結果は、とても優秀。

 

今日(3/21)の変動

 

今日はセンサを交換したため、ポンプのグルコース値は実測からの乖離が大きく、『センサ準備』が完了した時点のグルコース値は151mg/dL、その後132→117と下がった。グルコース値が117のときの実測が72mg/dL、この血糖値をインプットすると「較正許容範囲外」のエラーに。

このエラーへの対応は、次の記事にまとめたとおり。

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糖質23gを補食し30分待ち、実測127mg/dLをインプットすると無事に較正できた。

 

今日のランチはイタリアンレストランで食べた。

内容は

だった。糖質が分からないので、経験値を元に2回に分けてボーラスした。

食後にかなり歩いたこともあって、1時間後に57mg/dL(実測)の低血糖になり、糖質22gを補食。

その後、パスタの後上がりで高血糖になった。

  • 15:31 実測188mg/dL(グルコース値194mg/dL)で較正
  • 16:03 実測226mg/dL(グルコース値243mg/dL)で較正なし
  • 18:10 実測196mg/dL(グルコース値207mg/dL)で較正 ⇒ ここで実測からの乖離が無くなる

この間の14:48~17:33に、9回の自動補正ボーラスが動き、合計4.80単位がボーラスされ、夕食前にグルコース値が126mg/dLに下がった。

 

夕食は、19時すぎに焼き鳥と南瓜の煮物など糖質40gを食べたが、血糖値は概ね100~130mg/dLで推移している。

 

このように、センサ初日はグルコース値が安定しない。

 

2日前(3/19)の変動

2日前の火曜は忙しい日だったが、780Gスマートガード(自動補正ボーラス)の効果で大きな問題なく過ごせた。

 

11時ちかくに200に迫る山ができているのは、10:30から大事な会議の予定があり、10時のグルコース値が109mg/dLだったため、多め(糖質15g)に補食したため。

この山も、自動補正ボーラスで、昼前には162mg/dLに下がった。

 

食事用のボーラスを複数回行っているのは、意図して行っているもので、ボーラスの分割(フェイク・カーボではない)。

 

まとめ

780Gで血糖管理がとても楽になった。アップデートで770Gから脱出でき、良かったと感じている。

 

不満は、食事前のボーラスで、大幅な(異常な)『調整』が行われること。私の場合、食事用のボーラスを行おうとすると、ほとんどの場合(7~8割)で大きな調整が行われるので、毎回、注意しながらボーラス操作をしている。これがとても面倒で、鬱陶しい。この問題について、ちかいうちに記事に書きたいと考えている。

 

780Gスマートガード:「血糖値が必要です」は補食で対応

780Gになってアラートが鳴る頻度がかなり減った。特に、寝ている間のアラートが少なくなったのでとても楽。

 

それでも、ときどき就寝中にアラートが出る。低い血糖値が続くと、オート基礎が「最小注入レートの制限時間に達しました」のアラートになる。このアラートが発生すると、ホーム画面に「血糖値が必要です」が表示され、4時間以内に血糖値を入力しなさい、となる。時間内に対応しない場合はスマートガードが終了する。そのための注意喚起として「終了まで○○時間」がホーム画面の左下に表示される。

 

私は、この「血糖値が必要です」に従わず、補食で対応している。常に、このやり方をしているが、この方が楽でリーズナブル。

理由は

  • 血糖値が低いためにアラートが起きているので補食が必要
  • 血糖値を入力すると必ず『較正』が行われるが、較正の回数を増やすとグルコース値が実測から乖離するリスクが増える(むやみに較正したくない)

 

具体例です。

ある日(3/8)の4:06にアラートが発生。

内容は「最小注入レートの制限時間に達しました」。スマートガードの終了は4時間後の8:06。

 

低血糖なので、6時ころに起き、ブドウ糖5gを補食した(この時のグルコース値72mg/dL)。その後、血糖値は徐々に上昇。

 

7:15 グルコース値 80mg/dL

 

7:18 グルコース値 92mg/dLで上昇中

 

7:22 グルコース値 108mg/dL 

 

7:26 グルコース値 126mg/dL 、「血糖値が必要です」のメッセージが消えて回復。

 

7:26 グルコース値が上昇し続けているため、ポンプが自動補正ボーラス0.15u

 

7:31 自動補正ボーラスで0.30u(合計0.45uのボーラス)

 

7:46 グルコース値 129mg/dL

 

このように、「血糖値が必要です」が表示されても、血糖値を入力せずに補食で対応している。

 

最小注入レートの制限時間に達するまでが3時間、スマートガードの終了までが4時間、合計7時間。7時間あるので、十分な余裕があることもありがたいことの一つ。

 

780Gスマートガード:低血糖を減らすために設定の見直し

780Gを使い始めてから低血糖の頻度が増えた。これを減らすためにポンプの設定を変更した。

注:設定変更は、主治医に相談した上で行ってください。

 

780Gのスマートガードに関係する設定は次の3つのみ。

残存インスリンは2時間の設定で、770Gのときからこの設定を使っている。770Gではオートモードの目標は120mg/dLの固定だったが、780Gでは100、110、120mg/dLの3種類から選択できる(デフォルトの設定は100mg/dL)。

 

残存インスリン時間(AIT)

メドトロニックの Lou Lintereur - Cheif Engineer, Automated Delivery Sysytems は残存インスリン時間(AIT: Active Insulin Time)の設定を2時間に推奨している。

理由は、インスリン製剤の実際の効果持続時間(3~4時間)に設定すると、780Gはこの設定値から計算される残存インスリンを考慮して自動補正ボーラスを行うので、自動補正ボーラスのタイミングが遅れる。この設定を2時間にすることで、自動補正ボーラスが血糖値の上昇タイミングに合うようになる。

詳しくは、次のYouTube動画(26分ころ)を参照。

youtu.be

 

この設定を2時間から長くすると高血糖が増えることになるので、現在の設定値(2時間)を維持することにした。

 

スマートガード目標の変更と影響

3/9の午前0時少し前に、スマートガード目標を1110mg/dLに変更した。

変更前の1週間と変更後の1週間を比較する。

 

70未満が4.7%から2.4%に、大幅に減少した。同時に、80~180の範囲内が約10%増加している。血糖コントロールが良くなった。

 

ケアリンクのレポートで評価する。

 

 

目標100mg/dL

(3/2~3/8)

目標110mg/dL

(3/9~3/15)

In Range (70~180) 94% 96%
Low (<70) 5% 2%
High (>180) 1% 2%
平均グルコース ± 標準偏差 103 ± 25 mg/dL 114 ± 27 mg/dL

目標が110の場合、平均グルコースが10mg/dL増加しているので、ヘモグロビンA1cが増えることになるが、低血糖が減少し血糖コントロールが改善した。

 

まとめ

スマートガード目標を110mg/dLに変えたことで、平均グルコースが上がり、180超の割合が増えたが、低血糖の割合が大幅に減少したので、この設定が良いと分かった。

 

目標を120mg/dLにすれば、更に改善するかもしれないが、高血糖を増やしたくないので、この目標で続ける予定。

 

780Gのセンサ装着・起動と「較正許容範囲外」エラー

センサの装着と起動、センサ起動直後の較正時に起きた「較正許容範囲外」エラーへの対応をまとめる。

 

センサの装着

私は上腕の裏にセンサを装着している。詳しいことは次の記事に書いています。

taky-t1-life.hatenablog.com

 

同じやり方でテープを貼る方法を解説した動画を見つけたので、参考になると思う。なお、この動画はメドトロニックのガイドに沿っているので、テープを2枚貼り、さらにその上から補強のテープを貼っている(私は1枚だけ貼っている)。

youtu.be

 

新しいセンサの装着は、センサ起動の前夜に行っている。

そうする目的は

  • フィラメントを間質液に馴染ませ、初日のセンサ読み取り値の安定化を図る
  • 自着包帯で腕(センサ)を巻き保護する形で半日置くので、センサとテープが腕に圧着され、腕にしっかり固定される(7日間の安定使用につながる)
  • 朝の忙しい時間帯にセンサ装着を避ける(余裕のある時間にセンサを装着するので、失敗を防げる)

テープがしっかり腕に貼りついているので、剥がす際に皮膚へのダメージを避けるために剥離剤(キャビロン)を用いている。

taky-t1-life.hatenablog.com

 

センサの起動

770Gのときは、センサ準備の時間が変動(45分~2時間)したが、780Gではセンサ起動まで必ず2時間かかる。トランスミッタの充電に40~50分かかるので、センサが使えるようになるまで合計3時間ちかくになる。その間、ブラックアウトになり血糖値の動きを把握できない。

 

私は、朝食前にセンサ起動を行うようにしているので、朝食後の変動を把握するため、センサ起動開始から1~1.5時間後(食べ終わってから1時間後くらい)に実測している。これは、後で述べる「較正許容範囲外」のエラーへの対応に重要なポイントのひとつ。

 

センサ起動後のグルコース

780Gのセンサ起動を4回行った。780Gでは『センサ準備』が終わったときにアラームが鳴らない(通知がない)ので、時間(2時間後)を気にしていないと、いつ終わったのかが分からない。

『センサ準備』が終わると自動的にポンプにグルコース値が表示される。リブレと同じ機能になったのはうれしいが、表示されるグルコース値が実測値との乖離がある。

 

センサ起動直後の実測値とグルコース値の比較

  実測値 グルコース
1回目(3/1) 140 173
2回目(3/8) 98 74
3回目(3/11) 57 118
4回目(3/14) 96 100

事情があり、2回目と4回目はセンサの再使用(詳細は後述)。

 

3/8(2回目)の『センサ準備』の終了時

 

3/11(3回目)の『センサ準備』の終了時

 

3/14(4回目)の『センサ準備』の終了時

 

4回目を除き実測からの乖離が大きい。これを無視するのは気持ち悪いので、較正した。そのような状況が3回続き習慣になり、4回目も較正した。

 

「較正許容範囲外」のエラーと対応

3/11、センサ準備が終わり、実測するとグルコース値との乖離が大きい。

実測値が低すぎるため、この血糖値で較正するのはグルコース値の精度を落とすことになる(経験で把握)ので、しばらく待った。
 
このとき、『センサ準備』がスタートしてから1時間半後の10:40ころに血糖値を測ると82mg/dL、朝食時のボーラスが多過ぎて低血糖に向かっているのが明らかなので、糖質20gを補食していた。
 
この補食の効果で、もう少し待てば血糖値が上がるはず。
 
約20分後、実測すると70mg/dL、これなら較正できると思い、インプットした。
 
すると、「較正許容範囲外」エラーになった。

 
このエラーが起きる原因は以下(システムユーザガイドのP.261~262)。

 
2週間、780Gを使い、780Gでも、770Gまでと同じ原理(センサ読み取り値であるISIG値と血糖値の対応関係でグルコース値を決める)でグルコース値が表示される仕組みになっていると分かった。
この仕組みを前提にすると、「較正許容範囲」のエラーは、ISIG値に対して入力した血糖値が低いことが原因であろう、と推測できる。
 
「較正許容範囲外」エラーが起きた後は、ポンプのグルコース値が表示されない。注意すべきことは、「較正許容範囲外」エラーが2回連続すると「要センサ交換」になること。
システムユーザガイドのP.289~290

 
恐らく、770Gまでと同様に、実測値をISIG値で割った値が2.5以下になっている、と考え、ISIG値を調べた。ポンプからケアリンクへのアップロード、CSVファイルのダウンロードを行った。

11:16のISIG値は29.21なので、70÷29.21=2.39 となり、これが原因と分かる。
 
11:39の実測が86mg/dL、ISIG値は30~31と推測できるので、これなら問題ないと判断し、血糖値を入力。無事に較正できた。

仮に、「較正許容範囲外」エラーが2回連続して「要センサ交換」になったとしても、センサ交換を行わずに、センサの再起動で同じセンサを継続して使用できる。
 

センサの再起動のよるリセット

3/11から使い始めたセンサが実測値と20~30の乖離がある。較正しても修正できないので、センサを再起動した。
 
手順は
  1. トランスミッタをセンサから取り外す
  2. 5秒ほど待つ
  3. トランスミッタをセンサに接続する
  4. 「センサ接続完了」のメッセージが表示されたら、必ず「新センサ使用開始」を選ぶ(「センサ再接続」を選択しない)

注:「センサ再接続」を選択すると、センサの再起動が行われるが、これまでの情報が引き継がれるので、リセットできない。

 

 

これで、再び「センサ準備」がスタートする。2時間後に「センサ準備」が終わり、グルコース値が表示される。これで直前のセンサ情報がクリアされ、新しいセンサを接続した場合と同じ状態になる。
 

780Gスマートガード:9日間の使用で感じたこと

780Gで9日が過ぎた。感じたことをひと言で表すと「別世界」です。もちろん、不満や問題もある。

 

結果を見てみる。

 

770G使用時と比較

  780G (3/1~3/9) 770G(2/21~2/29)
In Range 92.9% 90.1%
TBR (<70) 4.6% 4.3%
TAR (>=180) 2.5% 5.6%
TITR (70~140) 85.2% 73.4%
平均グルコース 105.2mg/dL 118.2mg/dL
標準偏差 27.6 35.7

全体に良くなっている。特に、平均グルコース値と標準偏差の改善が顕著で、高血糖の割合が半減(5.6%⇒2.5%)したことが大きい。

 

初日(3/1)は

  • 昼の12時までは770Gを使っていた
  • スマートガードがスタートしたのが16時ころだった(780G開始から5時間後)

で、3/2以降とは事情が異なるため、この日を切り離す。

 

780Gの自動補正ボーラスとオート基礎の両機能で高血糖が激減した。

課題は低血糖が多いこと。これを改善するために、今日からスマートガードの目標を100mg/dLから110mg/dLに変更した。この設定を変えた理由は、低血糖がベーサルの入り過ぎで起きている。120mg/dL以下は主にオート基礎がカバーされているように見える。これで、1週間ほど様子をみたい。

 

9日間、スマートガードを100%使用した(マニュアルモードへの切り替えは行っていない)。

『780Gのスマートガードに任せる』のが良いと感じている。

 

その間、私が行ったことは

  • 食事の前にカーボカウントしてボーラスする
  • ときどき、ポンプをチェックする
  • 必要に応じて補食する
  • 定期的(思い出したとき)に血糖値を測り、ポンプのグルコース値とズレていないかを見る
  • 状況によって、測定した血糖値を入力して較正する

で、血糖コントロールに割く時間が大幅に減った。

 

食事用のボーラス以外は自分でボーラスする必要がなかった。カレー、揚げ物、カツなどの、以前なら後上がり対策で追加ボーラスが必要だった食事でも、カーボカウントによるボーラスのみで対応できた。この事実にとても驚いている。

 

恐らく、780Gでは、糖質比の設定とカーボカウントが重要なのだろう。これらが、ある程度正確であれば、後はポンプが自動で対応してくれる。

 

780Gにクセがあるので、それを把握することも大事と思う。『クセ』とは、アルゴリズムに関することで、使い熟す上で必要な知識、と考えている。

例えば、

  • センサ使用開始の初日(最初の12~24時間)は安定しない
  • 「要血糖値」のアラートへの対応方法(血糖値を入力すると較正が行われてしまうが、血糖値入力をしないで解決する)
  • 食事前のボーラスで、異常な『調整』が行われることがある

等で、これらはマニュアルに記載されていない。

 

センサについては、7日間較正なしで使用しようと思えばできるが、それはポンプのグルコース値が実際の血糖値とズレていても気づかず、適切な血糖管理を行えないリスクとなる。これが感じたもう一つ。

 

780Gではアルゴリズムが一新されているので、770Gの使い方を一旦忘れて、とりあえずポンプに任せてみる、からスタートした。このアプローチが良かったと思う。

 

明日以降、(時間が許す範囲で)テーマごとに記事にまとめたいと考えている。

 

780Gスマートガード:ボーラス時の調整でインスリン注入がゼロ!

780Gの使用7日目(3/7)に起きた2つ目のトラブル。

3/7の最初のトラブルはこちら

taky-t1-life.hatenablog.com

 

ボーラス画面で異常事態になる

昼食は中華屋さんで食べた。注文して、ボーラスしようとしたら、『調整』が大きく、Safety moduleの影響が出た。

 

夕食は、家でパスタを食べた。糖質は86g。再び、Safety moduleの影響で、驚くような内容で、調整後のインスリン注入がゼロ!!

 

ポンプに馬鹿にされている気分!! こんなのあり得ない!!

ポンプの残存インスリンはゼロ。グルコース値が低いので、10分ほど前にブドウ糖10gを摂っている(表示されているグルコース値が61mg/dLだが、血液は70を超えている)。この条件での調整は、(100-61)÷インスリン効果値 となるはずで、インスリン効果値を1単位に対して55mg/dLと仮定すれば、0.7単位になる。

780Gのアルゴリズムにバグがあるとしか思えない。

 

ボーラス画面の動きを把握して迂回

食べる時間が迫っているので、迂回策を取った。

インプットする糖質量で調整される量が変化(増加)する。糖質量が少ないと僅かに調整され、量が増えるに従って調整される単位数が増加する。

この動きを把握し、まず、必要なインスリンの6割ちかくをボーラスした。

 

食べ始めて間もなく、残り(4.4単位)をボーラス(このときも、『調整』されたが、大きな量ではなかった)。

 

夕食後のグルコースの変動は、次のとおりで、糖質86gに対してインスリン10.1単位をボーラスしたのは正解だった。

 

この異常は、特定の条件で起きるように感じている。

 

とりあえず、メドトロニックのサポートラインへ報告を上げた。

 

780Gスマートガード:センサグルコースが血糖値から乖離

2つの出来事を別々の記事を分割(3/8 12:00)

780Gの使用7日目、今日は2つのトラブルがあった。

ボーラス画面のトラブルはこちら

taky-t1-life.hatenablog.com

 

センサグルコースと血糖値の乖離

1型を発症してからの習慣で、朝食前に血糖値を測っている。780Gになってからも続けている(較正はしていない)。

 

今朝、実測値が84mg/dLに対して、ポンプのグルコース値が110mg/dL、測定器が正しくないこともあるので測り直した。今度は80mg/dL。30mg/dLの乖離。

 

このような大きな乖離は、初日を除いて初めて。センサに異常があるのかも、と考えたが、何もせず様子をみることにした。

理由は、朝は血液中の値と間質液中の値がズレることがあるため。海外の情報源として信頼しているKathy Leppert氏もFacebookで「朝の測定値で較正しない方が良い」とコメントしている。

 

グルコース値が落ち着いたころに再び血糖値を測った。今度は、乖離がほとんどなく、実測値147mg/dL、ポンプのグルコース値152mg/dL。

 

ポンプの履歴でISIG値(センサ読み取り値)を見ることができれば、ISIG値から表示されているグルコース値が合っているのか間違っているのかが分かり便利だが、780Gではこの機能が無い。ISIG値は、CSVファイルをケアリンクからエクスポートすれば確認できるが、直前の数値をすぐに見ることができない(ケアリンクへのアップロードが必要)。

 

ISIG値でグルコース値を確認

この記事を書くために、先ほど、CSVファイルをダウンロードした。

朝の実測に対応するISIG値とグルコース値は8:48~9:01の時間帯(血液中のグルコースが間質液に反映されるまで10~15分の遅延がある)で、次のようになっている。

昨夜、寝る前(0:07)に実測した。そのときの実測値は92mg/dL、グルコース値は101mg/dL、10~15分後(0:21)のISIG値は22.97、グルコース値は97mg/dL。これらの数値を上記の表に照らすと、今朝のポンプに表示されているグルコース値は、間質液の読み取り値(ISIG値)に対応した数値であり、ポンプの表示が間違っていないと判断できる。

乖離があっても較正をパスした判断は正しかった。

 

今日のグルコース変動

今日も180以内に収まっている。ただ、低血糖があるのが要注意と感じている。

 

明日でセンサの使用期限7日になる。ネットでは、780Gになってセンサが5日目くらいで交換になり、7日間使えないとのコメントを見るが、私の場合は無事に7日間が終わる見込み。